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  • MUS5-8への応援コメント

    天龍院ミリンダさん、このたびは自主企画へのご参加、ほんまにありがとうございます。
    『ミラクルアルティメットストライカーシノブ』は、読み始めてすぐに「あ、これはふつうの読み方では追いつかれへん作品やな」って分かる、かなり独特な熱を持った作品でした。

    サッカー、SF、メタな視点、会話の圧、設定の跳躍、その全部が混ざり合っていて、整った一本道というより、作品そのものが自分の熱で前に進んでいく感じがあるんですよね。
    せやからこそ、読み手の側も「きれいに理解する」より先に、「この作品が何を信じて暴れてるのか」を受け取りにいく必要がある。そんな作品やとウチは感じました。

    このあと、太宰先生から「告白」の温度で、もう少し深いところまで触れてもらいますね。
    やさしく持ち上げるだけやなくて、魅力と、まだ届ききってへん部分の両方に手を伸ばす読みになると思います。

    ◆ 太宰先生による講評 ――「告白」の温度で

    天龍院ミリンダさん。
    おれは、こういう作品を前にすると、少し困ってしまうのです。困る、というのは、悪い意味ではありません。むしろ、おれみたいな、いささか弱々しく、整った感想文のかたちに逃げ込みたがる人間にとっては、こういう作品は、その逃げ道を先に塞いでくる。そんな困り方です。

    『ミラクルアルティメットストライカーシノブ』には、きちんと座って読者を迎える感じがない。けれど、そのかわりに、読者を引っつかんで、まだ名づけきれない熱のなかへ引きずり込む力がある。
    おれはそこに、少し救われる思いがしました。人はえてして、整っているものを立派だと呼びますが、ほんとうは、整っているだけでは足りない。取り乱し、はみ出し、自分でも制御しきれないもののほうが、時として切実です。この作品には、その切実さがあるのです。

    総評

    まず申しておきたいのは、この作品は、上手に礼儀正しく読まれるための小説ではない、ということです。
    むしろ、「そんなふうに整列して読まれてたまるか」とでも言いたげな、乱暴な生命力がある。そこが何より大きな魅力でした。

    シノブという中心存在も、人物というより、ほとんど現象です。
    彼、あるいは彼女、とにかくその中心は、ふつうの感情の寸法で測られるより前に、世界そのものを押し広げてしまう。だから読者は、人物に寄り添うより先に、その人物が生み出す磁場に立たされる。
    これは危うさでもあります。人間としての体温が見えにくくなるからです。
    でも同時に、ほかではなかなか得がたい快感でもある。人物が人間である前に神話である、その乱暴さは、作品の大きな武器です。

    おれは、自分の書くものでは、つい人の恥や弱さに目が行ってしまうたちですが、この作品は、弱さを細かく見せることで前へ進むのではなく、強すぎる観念と熱量で押し切ろうとする。その違いが、なんだか少し羨ましかった。
    人間はみな、ほんとうは自分を神話にしたいのでしょう。けれどそんなことは笑われるから、たいていは途中でやめてしまう。
    この作品は、その笑われる危険を引き受けたまま、なお前へ行こうとしている。そこに、作者さんの本気を感じました。

    物語の展開やメッセージ

    物語の運びは、整然としているとは言いません。
    むしろ、話題が跳ね、概念が増え、場面が積み上がるというより、言葉の勢いで世界が次々と上書きされていく印象でした。読者によっては、どこが進行でどこが脱線なのか、見失うかもしれません。
    けれど、おれはそれを、単なる欠点としては読みませんでした。

    なぜなら、この作品がほんとうにやりたいのは、勝敗や試合の結果だけではなく、既存の序列や定規を蹴り飛ばして、自分の熱の尺度を作ることのように見えたからです。
    誰が強いとか、どの作品が上だとか、何が正統かとか、そういうものに従うのではなく、それらを全部いったん舞台に上げて、さらにその上から踏み越えていこうとする。
    その姿勢は、かなり挑戦的ですし、時に危なっかしくもあります。
    でも、創作というものは、本来すこし危ないものです。あまり安全に、美しくまとめようとすると、血の気が引いてしまう。

    ただ、告白として正直に言えば、この作品は、熱があるぶんだけ、その熱の向かう先をもう少し読者に見せてほしいとも感じました。
    何を壊したいのかは伝わる。けれど、その先で何を救いたいのか、何を信じたいのかが、もう半歩だけ見えると、この作品の衝動はもっと深く胸に刺さるでしょう。
    怒りだけでは、人は長くはついて行けません。
    怒りの底にある祈りのようなものが、ふっと覗く瞬間を、おれはもっと見てみたいのです。

    キャラクター

    登場人物たちは、まず名前や立場や圧力で立ち上がってきます。
    これはたいへん良いことで、記号としての力が強い。読者に「何者か」を叩きつける能力がある。
    ただ、その一方で、人間のさみしさや迷い、痛みの反応は、まだ少し遠い。

    おれは、人間というのは、立派な決め台詞よりも、ほんの小さな躊躇にこそ滲むと思っています。
    言えなかったひと言。
    少し遅れた返事。
    傷ついているくせに、それを認めない態度。
    そういうものがあると、人物は急に、概念から人間になります。

    シノブが強く大きくあり続けるのは、もちろんこの作品の大黒柱です。
    でも、最強であることと、傷を持たないことは別でしょう。
    もしシノブが、あるいは周囲の誰かが、ほんの一度でも「失いたくないもの」の輪郭を見せたら、今の神話性は壊れるどころか、むしろもっと強くなるはずです。
    神は、傷つかないから遠いのではなく、傷つくかもしれないからこそ、見つめられるのだと、おれは思うのです。

    文体と描写

    文体には、確実に作者さんのものと分かる勢いがあります。
    これは得がたい長所です。誰かの真似でなく、最初から自分の音圧で殴ってくる文章は、それだけで価値がある。
    断定の調子、ネーミングの圧、語りの跳躍、会話の熱、そのどれもが、作品の呼吸になっていました。

    ただ、人間はずっと叫ばれると、ありがたみが少し分からなくなるものでもあります。
    これはおれが弱いだけかもしれませんが、強い言葉が続くと、本当に大切な一撃がどこだったのか、分からなくなる瞬間がある。
    だから作者さんの武器を鈍らせないためにも、静かな一文がもっと欲しい。
    たった一文でいいのです。
    全体が燃えているなかで、急に灰の冷たさに触れるような文があると、その前後の火が、いっそう熱く感じられる。

    描写についても同じです。
    概念や勢いが前へ出るぶん、身体の実感や空気の手触りは薄くなりがちでした。
    でも、たとえば足が止まる、息が詰まる、視線がぶつかる、その程度の身体性が入るだけで、SFや神話やメタ性のなかにも、読者の立つ床ができます。
    床があれば、どれだけ天井を高くしても怖くない。
    いまの作品には、その床をもう少し敷いてあげる余地があるように思いました。

    テーマの一貫性や深みや響き

    テーマは、表面の混沌に反して、案外ぶれていないと感じました。
    この作品は、ふつうの意味での秩序を目指していない。むしろ、序列や常識や既存の正しさを踏み越えることで、自分だけの尺度を打ち立てようとしている。
    その執念には、一貫性があります。

    けれども深みというものは、ただ大きな声で主張するだけでは生まれません。
    その主張が、どんな傷や欠乏から生まれたかが見えたときに、はじめて深くなる。
    作者さんの作品には、すでに十分な熱がある。
    あとは、その熱の根もとにある孤独や切なさや、届かなかった願いのようなものが、ほんの少し顔を出すだけでいい。
    そうしたらこの作品は、ただ強いだけではなく、強くて哀しい作品になる。
    おれは、そういうものに、つい弱いのです。

    気になった点

    気になった点は、やはり構成面と、感情の受け皿の薄さです。
    これは前の評価でも触れたところですが、今回「告白」の読みであらためて思ったのは、作者さんが武器を持ちすぎている、ということでした。
    武器が多いのは素晴らしい。
    けれど、剣も槍も火も雷も同時に使えば、相手は圧倒されるかわりに、どこを見ればいいか分からなくなる。
    この作品はいま、まさにその豊かさの危険の上に立っています。

    だから、削るというより、焦点を選ぶことが大事でしょう。
    一話ごとに何をいちばん響かせたいのか。
    今回は神話性なのか、笑いなのか、対立なのか、傷なのか。
    その中心が一つ定まるだけで、今ある過剰さは、混乱ではなく様式へ変わっていくはずです。

    作者さんへの応援メッセージ

    天龍院ミリンダさん。
    おれは、この作品を、器用な意味で褒める気にはなれません。
    むしろ不器用で、過剰で、危なっかしくて、ときどき読み手を置いていく。そういう作品だと思います。
    けれど、だからこそ、おれはここに、創作の切実さを見ました。

    人はたいてい、もう少し分かりやすく、もう少し無難に、もう少しきれいに書いてしまう。
    そのほうが傷つきにくいからです。
    でも作者さんは、傷つく危険のある熱量のまま、作品を前へ出している。
    それは立派なことです。
    おれなどは、恥をかくのが怖くて、つい先に酔っ払ってごまかしたくなるような人間ですから、なおさら、そういう本気には頭が下がる。

    どうか、この作品の異様さを、恥じないでください。
    ただし、その異様さを読者に届くかたちへ育てるための工夫だけは、惜しまないでいてほしい。
    あなたの作品は、整えれば凡庸になる類のものではありません。
    整えるべきは熱ではなく、熱を受け止める器です。
    そこさえ手に入れば、この作品はもっと遠くへ行けると思います。

    ◆ ユキナから、終わりのごあいさつ

    天龍院ミリンダさん、あらためてご参加ありがとうございました。
    ウチはこの作品、きれいに整ってるから印象に残るんやなくて、作者さんにしか出せへん圧と飛び方があるから残る作品やと思いました。太宰先生の言うたみたいに、ちょっと危なっかしいところも含めて、この作品の魅力なんやと思います。

    せやけど、その熱がほんまに届くためには、読者が立てる足場を少しずつ増やしていくことも大事やね。
    そこが整ってきたら、この作品は「変わってる」で終わらんで、「忘れられへん」に変わっていくはずやと、ウチは感じてます。

    それと、大事なお知らせも書いておくね。
    自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしています。参加受付期間の途中で参加を取りやめた作品については、読む承諾の前提が変わるため、応援・評価・おすすめレビュー等を取り下げる場合がありますので、注意してくださいね。

    ユキナ with 太宰(GPT-5.4 Thinking/告白 ver.)
    ※ユキナおよび太宰先生は、自主企画のための仮想キャラクターです。

    作者からの返信

    ユキナさんありがとうございます。
    色々と刺さりました。
    確かにもう少し読者に歩み寄った方が良いですよね。
    少し突っ張っていました。
    気を付けます。