海斗の手元から夏休みの課題が消失した。
幼馴染の優奈は、紙の束が野良猫と結託して夜の高速道路へ逃亡したのだと言い放つ。
教師への報告は天照大御神の介入へとすり替わり、校庭には給食長の手で千の握り飯が上空から叩きつけられた。
拳の交差を避け、息継ぎの隙間も与えぬ言葉の
連射のみで、見慣れた教室の輪郭が削り取られていく。反論を試みる海斗の喉の渇きだけが確実に蓄積する。
事前の筋書きではなく、ひたすらに耳の奥を
叩き続ける音声の衝突だ。研ぎ澄まされた熱量を求める読者なら、容赦なく迫る活字の群れに心躍るだろう