多くの人が行き交う大きな図書館……ではなく、古書を保管する小さな図書館。
出世とも活気とも無縁な、けれど古くから多くの手によって蓄えられてきた知識が詰まった場所。
そんな場所で記録を書き写し、古書を的確に保管して働くスターチス。
本作は彼女と、そしてある一日の中でこの図書館を訪れた五人によって彩られています。
大きな事件があるわけでもなく、この物語は決して派手とは言えないでしょう。
ですが、あたたかな色を感じさせる心理、風景描写と繊細な語り口で描かれる一日からは確かに、静かで少し籠った、図書館独特の空気感を感じました。
読んだら少し過去や遠くのことに想いを馳せたくなるような、そんな澄んだ物語。
ぜひご一読ください。