ウメ〜!
梅吉〜!
活発そうな雰囲気の、髪の長い女の子の呼びかけに振り返ったのは、やさしそうな顔をしたゴールデンレトリバーだった🐾
梅吉。
シブい名前をつけられた動物が好きだ。
近所の公園で見た光景。
このお作品。
薄茶の毛色をしたポメラニアン。
福助。
シブい。
かなり好みだ。
名前の響き、音、飼い主の声。
名前で呼ばれることに至上の喜びを感じ、その喜びを表わす存在。
タイトルの通り、福助はもういない。
人は、自分の体の一部が欠損しても、その欠損して無いはずの感覚が残るという。
覚えているのだ。
自分の一部のように覚えている存在を亡くしたお一人様の主人公。
今日も、返事はないはずなのに、
福助と呼びかける。
主人公の一人語りによる物語。でも、不思議にさみしさを感じさせません。
ぜひ、お読みくださいませ🤗⭐✨
無情に、そして無常に過ぎ去っていく時の流れが、「死」や「老い」という欠落の連鎖として描かれる一方で、みずからの感傷を笑う主人公の姿が印象的でした。
詩情に満ちて舞い散る桜の花弁は、首の骨がはまる滑稽な音へと不時着する。
主人公は、そんなありさまを自身の境遇に重ねつつ苦笑してみせます。
それは乾いたニヒリズムではなく、ままならぬ生を受け入れた者の、静かな自己肯定だと思えました。
足下に風は起こらず、福助はもういない。
彼女は何も成さず、残さず、きっとひとりで消えていく。
だとしても。それでも。
人はただそこを歩いているだけでいい。
そんな優しさと温かさが、染み入るように胸へと届く小品でした。