第8話 閉じた庭
高校に入学して、まだ一ヶ月かそこらだったのに。
高校生活がもうすぐ終わるとネットニュースで目にした。
「――昨日、政府から正式に発表がありました。
二か月後、七月十六日の未明、星間戦略兵器の直撃が確実となったとのことです。
これによって――」
つまりはこれは、世界の終わりというやつだ。
そんな耳を疑うような発表があってからも、この国の日常は、何ひとつ変わらなかった。
政府は、いらだつ市民の『怒りをぶつける相手』としてふさわしい相手を用意してくれた。
宇宙人との交渉役が失敗したからと。
世間は、きっと大丈夫だと目と耳を閉ざし、モラトリアムを謳歌することを選んだ。
避けようのない終焉には、それがちょうどよかった。
争っても、嘆いても、
同じ速度で
数字が減る。
まるでコップの水が減るように。
病院の廊下に、暗い足音が響くように。
忍び寄るぞっとするような気配を、冷たい毛布をかぶって意識から締め出す。
日常は変わらない。
学校に行くのも。
「ねえ、あの話聞いた?」
「ああ、あの宇宙飛行士の。
さすがにちょっと、やりすぎじゃない?」
顔を見合わせる。何かおかしい。ほんの少しの違和感。
けれどそれに何の意味があるのか。
自分は悪くないのだと言い聞かせているんだ、お互いに。自分に。それから世界に。
そうしてまだ昨日と同じ色の空に安堵する。
同じ時間にチャイムが鳴る。
制服の群れが吸い込まれる。
また、今日が消費される。
永遠に戻らない一日が。
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