「最初にキスをしたのは、彼女の方だった」という一文だけでもう引き込まれます。彼女が去ってからの主人公の行動もまるでそこにいるかのように現実感があって、すっと違和感なく物語に引き込まれていく感じがしました。。。自分が小説を書くときに参考にしてしまうかもしれません。
「好き」の一言で壊れた関係。去ったはずの彼女が残す、冷えた缶と見えない重み。これは壊れた心の幻想か、それとも形を変えて居座り始めた怪異か。静謐な筆致で描かれる、孤独と狂気が溶け合う幕切れが秀逸です。