記憶を消せるサービス、という設定から想像していた以上に、読後に残るものがありました。 静かな会話と読みやすい文章で進んでいくのに、読み進めるほど、見えていたはずの出来事が少しずつ違う形を取り始めます。 特に好きだったのは、その見せ方です。新しい情報を知るたびに、単純に謎が解けていくのではなく、失われたものの重さが増していく。そして、その重さをどこまで信じていいのかさえ、わからなくなる。 読み終えてから最初の場面をもう一度振り返りたくなる作品でした。