不慮の事故で妹の美緒を亡くした主人公の理沙は、妹の部屋で一着のウェディングドレスと結婚式のプランが描かれたスケッチブックを見つけます。妹の夢を叶えたいと強く願う理沙は、彼女の「代役」として式を挙げることを決意。美緒の担当プランナーだった陽介が新郎役を引き受け、ふたりは妹の想いを受け継ぐために静かなチャペルのバージンロードを歩きます。しかし、感動的な式を終えた直後、美緒が遺した一通の手紙が見つかったことで、事故の裏に潜む不可解な謎が浮かび上がってくるのです。
前半の、愛する家族を失った悲しみを乗り越えようとする繊細なヒューマンドラマに深く心を打たれます。理沙がただの「身代わり」ではなく、姉として妹の願いに寄り添い、陽介の優しい言葉に救われていく過程は涙なしには読めません。しかし、本作の真の魅力は、美しい感動作の余韻を鮮やかに裏切る、後半の予測不能なミステリー展開にあります。遺されたメッセージや閉ざされた旧倉庫で見つかる写真など、張り巡らされた謎の数々が読者の好奇心を強く刺激します。温かな愛の物語とスリリングなサスペンスが同居する、読み応え抜群の珠玉の作品です。