このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(626文字)
天才医師として多くの患者を救ってきた氏神常葉が、ある出来事をきっかけに心を折られ、医療の世界から逃げ出すところから物語は始まります。前半は医師としての信念や患者との関係が丁寧に描かれ、常葉の苦しさがしっかり伝わってきます。そこから一転して、無限に広がる病院と大量の「自分」が登場する展開が強烈です。シリアスな過去と不条理なコメディの落差が大きく、先が気になります。語り口は分かりやすく、常葉の戸惑いにも共感しやすいです。重さと笑いの両方を楽しめる、かなり個性的な医療ファンタジーです。
この小説、読み始めたら止まらない。 常葉という人物の造形が秀逸で、天才医師という肩書きの重さと、それを支える真摯さ、そして真希ちゃんとの交流で滲み出る人間的な温かさが、丁寧に積み重ねられている。 院長室での一幕は読んでいて胸が痛くなるほどリアルで、正義を貫こうとしても追い詰められていく理不尽さが伝わってくる。
ジャンルは現ファンです。たしかにファンタジー要素は抜群にあります。しかし、この作品の本質は人間ドラマにあります。患者の病気は悩みから発生していて、この解決方法が感動のクライマックスを演出します。はっきり言って面白い。人間ドラマが好きなひとは是非よむことを強くお薦めします。