夏の入り口特有の、湿り気を帯びた「孤独」と「所在なさ」。教室という社会の最小単位からも、家という安らぎの最小単位からも、透明な膜を隔てたように浮いている主人公・心愛の心理描写が非常に緻密で、胸を締め付けられます。誰かが悪いわけではない。けれど「自分という席」がどこにも用意されていない。その静かな絶望の描き方に、強いリアリティを感じました。