明治の横浜。
ガス灯が照らす港町。
赤レンガ倉庫。
異国の香り漂う外国人街。
そして――
歴史から消された、“秘密の地下鉄”。
関内で探偵業を営む青年・南部与七郎。
彼は横浜市議の怪死事件を追ううち、
山下町の地下深くに眠る巨大な陰謀へと辿り着く。
それは、
八王子へ続く秘密路線。
密かに運ばれる最新兵器。
そして、維新の闇へ消えたはずの者たちの影――。
読み進めるうちに気づくだろう。
これは単なる明治ミステリーではない。
そこにあったのは――
「歴史は、死んだ人間だけで出来ている訳じゃなかった」。
これは、
横浜線誕生の裏側に隠された、
もう一つの“新選組伝説”。
歴史は、
教科書に名を残した英雄だけで作られるものじゃない。
敗れた者。
忘れられた者。
歴史の闇へ消えた者。
それでも生き延び、
名を変え、
時代の礎を支え続けた者たちが、確かにいた。
幕末もの、新選組もの、明治ロマン、ミステリー……どれか一つでも好きなら、この作品かなり刺さると思います。けれど実際に読んでみると、一番印象に残るのは「時代に取り残された人たちの空気」でした。ガス灯や赤レンガの華やかさの裏で、刀の時代を生きた男たちが、不器用に洋装を着て、珈琲を飲んで、横浜の街を歩いている。その姿が妙に切なくて、でもどこか可笑しいんです。
特に“明治の地下鉄”という発想が素晴らしく、「本当に存在していたかもしれない」と思わせる説得力がありました。史実を調べた熱量と、「もし彼らが生きていたら」という優しさが、物語全体からじわじわ伝わってきます。この作品を読み終えたあと、きっと横浜線に乗る目が少し変わることでしょう。
文明開化の音が響く明治の横浜に、もしも秘密の地下鉄が走っていたら?
そんなワクワクする想像力から始まる本作は、一瞬で読者をロマン溢れる時代へと引き込みます!
主人公は欧州帰りのワケあり探偵・南部与七郎。そして相棒となるのは、可愛くて度胸満点の謎の男装少女「磯子」。
二人が横浜の夜の街を駆け抜け、暗闇の地下鉄から八王子の秘密工場へと潜入する怒涛の展開は、まるで極上のアクション映画を見ているかのようです。
特に見どころなのは、激しい戦いの後に訪れる雨の馬車での静かな時間。
探偵と少女の間に流れる、切なくて甘い空気感に胸が締め付けられます。
歴史に詳しくない方でも絶対に楽しめる、極上のエンターテインメント作品です!ぜひこのミステリアスな列車に乗ってみてください✨
横浜で探偵業を営む南部与七郎。
ある日、彼はとある事件に巻き込まれる。横浜グランドホテルで毒殺事件が起き、そこに知り合いが巻き込まれ、かつ容疑者になってしまったというのだ。
彼は捜査を進めていくうちに永倉磯子という男装の娘と出会い……。
謎、アクション、そして新撰組という時代物が見事に調和した作品。
シリーズものということもあり、話が進むにつれて懐かしい顔と名前が出てきますが、それを知らなくても謎自体がしっかりしているため十分楽しめることができます。
シリーズを通じて徐々に現代に近づいているということもあり、続きがあるのでしたらそちらも楽しみになってかきます。
歴史のIF小説としても、ミステリとしても完成度が高く、新撰組が好きな方はより深く物語にのめり込むことができるでしょう。
オススメです。
この作品は、明治の横浜という近代化の入り口に立つ都市を舞台に、実在の歴史人物や鉄道計画を下敷きにしながら展開する伝奇探偵活劇としての構造が魅力の作品だと思います。
物語は、市会議員の事件をきっかけに探偵・南部与七郎が動き出すところから始まりますが、山下町の「The Bar Samurai」での出会いを境に、単なる推理劇では収まらない広がりが見えてきます。また、港の倉庫街から思いがけない地下の世界へ踏み込んでいく場面も印象的で、明治という時代の表と裏を行き来する物語のスケールが自然に伝わってきました。
単なる歴史ミステリではなく、新選組の記憶を背負った人物たちが近代都市の成立と重なり合うように描かれている点にも、この作品ならではの個性を感じます。実在の都市や鉄道の背景に別の歴史の層を重ねて読む楽しさがあり、最後まで一気に読み進めたくなる構成でした。
明治という時代の空気と伝奇的な発想が結びついた物語として、印象に残る作品だと思います。
なんのこっちゃと思った人。
ぜひ、本編を読んで見給え。
時は明治。舞台は馬車と汽笛が混じる港町横浜。
物語は市議会委員が殺された事件から始まる
赤丸ポルトワインとバイオリンの音色に誘われて
とある探偵と、胡散臭いバーのバーテンと男装の娘の道が交差したとき
何かが起きる?
どこか不可思議な世界を垣間見てはみませんか?
妙に納得できるラストに、きっと、ふふっと笑える筈。
本編は作者さまの、
新選組エリクサーシリーズ Shanghai samurai dad&son の番外篇です。
新鮮組が好きな方はもちろんですが、よく分からなくても大丈夫。
楽しめます。
現代の都市伝説じみた導入から、気がつけば明治横浜の毒殺事件と地下鉄の秘密の中へ深く引き込まれていく。その運びが非常に巧みです。
しかもそれが単なる“昔の話”ではなく、現代に残った伝説の輪郭を内側から照らしていくような構造になっているので、読みながら物語の奥行きがどんどん増していきます。
そして第9話。ここが本当にお見事でした。詳しくは伏せますが、それまでの出来事や人物関係の見え方が、ここで一気に組み替わる。大胆な展開でありながら、前の話数で積み上げてきた要素の上に成り立っているので、驚きと納得が同時に来ます。
「ただ意外なだけ」の種明かしではなく、人物の正体や事件をめぐる違和感、散りばめられていた要素がこの局面で気持ちよく噛み合っていくのが気持ちいいです。
今後の展開が楽しみですし、冒頭からもう一度たどりたくなるタイプの作品です。