カフェから見えた、何気ない街角の光景から始まる会話劇。宮間英里と、その友人・安倍まりあの会話は、軽快なテンポで進みながらも、ビルに描かれた絵に関する謎を浮き彫りにしていきます。日常の風景が鮮やかなミステリーへと変わり、パズルがはまるように回答を導き出していく様子が読んでいて心地よいです。
本文量に対して驚くほど情報の密度が濃い。細かな観察の積み上げと、冒頭のデュシャンやバンクシーをめぐる議論が真相へとロジカルにつながっていく構成が鮮やかで、ミステリの醍醐味が凝縮された一作でした。