そばにいたいと思う反面、近づくのを恐れていたり。
不器用さを隠すことにだけは器用であったり。
総じて。誰かを想う気持ちはありとあらゆる特異な事象とは関係なしに、月の光を待つ二人のことを肯定するのだろう。
物語を進めるための鮮やかな動機はキャラクターの機敏な情緒を温かく見守るようで、描写表現や状況設定はキャラ同士のやりとりに深みを出し、読み手に彼らの関係性を想像させるだけの力がある。
読み進めるうちに、序章から違和感なく引き継がれた要素と本作特有の要素がゆるやかに馴染んでいく感覚こそが、月読峠という舞台で生きる彼らの物語を甘美に彩っているのである。
曇り空の下であることが映えるような最後のシーンは必見。
素晴らしい作品をありがとうございました。