近世イタリアを舞台に、作者様はオペラを中心に声楽とファンタジーを、とても良いバランスで書かれていて。今作も、いってみれば魔法のないハイ・ファンタジーといえます。
その完璧すぎるぐらいに音楽を追い求める音楽監督のルドヴィーコ。
そして毒舌。でも美貌と歌声の訳あり歌手、エミーリオ。
この二人が、片田舎で邂逅。
そこから、二人で――いえ、片田舎の楽団のみんなと音楽を紡ぐ。これは、そんな物語です。それが熱い!
個人的にはレビュワーは演劇を経験していた人間なので、舞台監督や音楽監督の重要性を感じながら読んでいました。
いわゆるスター。
そももまた、舞台の華ですが。
その舞台(という表現をさせてもらいますが)緻密に組み立てながら、必要な采配をする。スターに関しては、妥協せず。もっとできることは、とことん向き合う。
まさに、ルドヴィーコはそういう人でした。
これね、大人になった今だからこそ、とても大事に感じるんです。
なぁなぁに終わらせない。
自分が信じた【音楽】を信じて、とことん自分達の全力を出し合う。その結果、髪が祝福するであろう、究極の旋律が生まれる。それは、コスパを考えていたら、絶対に無理ばことだって思うのです。
いったん完結となってますが。
どうやら、続きの構想もあるようで……。
一緒にカーテンコールでアンコールを。
スタンディング・オベーションで迎えませんか?
この出会い、まさに神様の贈り物でした。
とある公国、とある宮廷音楽家。音楽を愛し、それを上回る程に音楽への自信に満ち溢れた男、ルドヴィーゴ。
空気を読まない彼は宮廷内音楽闘争(?)に敗れ、友達もいない彼は辺境の村の教会付音楽監督に都落ち。
かなり詰んでいる状況ですが、なんか彼は諦めない。自分の音楽性が揺らがない。
だけどちょっと怖がりな彼は、夜の教会におびえたり、ちょっとした物音にドキドキしたり?
でも、この教会には秘密がありまして。
それはともかく、彼は美しい青年、ソプラノを歌うエミーリオとの出会いを果たす。
あまり友好的ではない彼ですが、しかしその歌声は極上。
そんな彼と彼の二人が一つになった時、教会の秘密と化学反応を起こして、二人の未来に訪れるのは……?
イタリアの鄙びた田舎風景と人間臭い人間関係、そして音楽に追われた二人の反撃。
読み応えがある本物語、ご一読してみてはいかがでしょうか。
宮廷楽長を目指していたルドヴィーコ。音楽以外に無頓着な彼は、人間関係を疎かにしたせいで、出世争いに負けてしまう。宮廷での仕事を失った彼は、しかたなく片田舎の教会で音楽監督の職に。村の 聖歌隊の面々や老神父、村の人々と交流し、彼は自分を見つめ直して行き――。
物語は出世争いに負けたどん底から始まります。
でも、安心してください。どん底ということは、もうこれ以上落ちようがないのです。あとは上がっていくだけ☆
なので、ルドヴィーコがどうやって返り咲くかを心待ちに、楽しく読めるお話でした。
人間関係のこじれが転落な要因だけあって、ルドヴィーコはなかなか傲慢な態度をとりがち。なのですが、物語の端々から、彼が音楽を愛しているのが伝わってきて、いつの間にかルドヴィーコを応援している自分がいましたw
女装が似合うソプラノ・ソリスト、エミーリオとの関係も見どころ!二人が出会うことで、ルドヴィーコもエミーリオも精神的な成長を遂げる展開、胸アツでした☆
公国の宮廷楽長を目指していたルドヴィーコは、ライバル作曲家との立場争いに負け、宮廷楽師の座を追われてしまう。彼の夢は一瞬にしてやぶれ、まさかのニートになってしまったわけだが、運よく次の就職先が決まる。それは、辺境の村にある教会の聖歌隊の音楽監督だった……。
村に着いて早々、口の悪い村娘に出くわす。不覚にもおっさんと揶揄われ言い合いになるが、彼女が不意にみせた笑みに胸が高鳴ってしまうルド。
後に、彼女ではなく彼と知ることになるわけだが、これはまさに運命の出会いだったことを思い知る。彼の名はエミーリオ。教会のソプラノ・ソリストでありカストラートでもある彼の歌声に、ルドは音楽家として魅せられていく。
しかし聖歌隊はこのエミーリオが仕切っており、他の仲間たちは彼の言う事しか聞かない始末。それでいて、よく言えば超真面目で素直な物言い、悪く言えばデリカシーのないルドは、聖歌隊の皆とバチバチにやり合うことに。
そんな前途多難な二人でしたが、あることをきっかけにお互いが真剣に音楽に向き合うことに。一度は夢やぶれた二人は、それぞれの武器を手に再び輝かしい舞台に立てるのか。
そして教会の地下にある秘密とは??
最強で最高な音楽バディが誕生したようです♪
数日前に読了済ですが、ラストも含めて余韻がまだまだ冷めやらない今作。音楽に詳しくなくても、物語としてじゅうぶんに楽しめる作品となっております。
また、男性同士のバディものが好きな方にはたまらないにやにや要素が散りばめられていて、少しずつ信頼関係が築かれていく様子も最高です✨
そんな綾森れんさまの最新作をご賞味あれ!
中世ヨーロッパの風を感じる洋風ファンタジー。
公国の宮廷楽長を目指していたルドヴィーコ(ルド)は、ライバルに負けて全てを失くし、辺境の教会で聖歌隊の音楽監督をすることになる。
しかし、待っていたのは個性的な聖歌隊メンバーと緩い田舎の空気だった……。
まず面白いのは、主人公ルドのへこたれないやる気元気と前向きさです。
絶対に返り咲き、音楽家としてのキャリアを立て直す!
その決意は、音楽への熱い想いと自分の音楽性への自信から来るものなのですが、とにかく周りと噛み合わずに、度々空回りしてしまいます。
こういうのは大概どこかで鼻ポキになるぞ…、と心配する読者を他所に、彼はとにかく折れない!
本当に折れない!!(笑)
理想の音楽を求めてやや強引に突き進むルドに、少しずつ影響を受けるのがヒロイン枠のカストラート(去勢歌手)、エミーリオ。
彼も又、過去に音楽を通して傷つき疲れ、この村にやって来た者でした。
最初はお互いのことを思い遣ることもなく反発し合う二人。
そんな二人が音楽を通して気付きを得、心を通じ合わせていく様は、胸熱いバディそのもの。
そして、その過程に表現される音楽描写は、音楽を愛する作者様ならではの圧巻の美しさ!
溜め息がでます…!
一人では見つけられないもの、手が届かないもの。
二人だから得ることの出来る素晴らしい景色を、最後に見るのはどこからなのか。
二人の成長と、二人が魅せる音楽を見守って頂きたいと思います。
オススメ致します。
1730年代のイタリアを想定した世界。
主人公、ルドヴィーゴは、32歳の大人の男性。
音楽の才能はあるのだが、性格に難ありで、音楽のことしか頭になく、まわりとは不協和音。友達がいないタイプ。
新進気鋭の才能が公国では理解されず、宮廷楽長の席を争って負けてしまう。
行き場をなくしたルドヴィーゴは、すごすご、田舎の村の聖歌隊の音楽監督として赴任する。
こんな片田舎で自分の才能を埋もれさせてしまうのは嫌だ、と思いながら。
田舎の村で出会ったのは、美しいソプラノ・ソリストである男性(カストラート)、エミーリオ。
彼は、田舎の村の聖歌隊の中心になっていて、和を乱そうとするルドヴィーゴと衝突をする。
エミーリオはエミーリオで、音楽に伸び悩む自分と葛藤をしていて……。
ルドヴィーゴとエミーリオが、音楽を通じて、〝相棒〟となっていく熱い物語です。
作者の綾森れん様は、音楽に造詣が深い方で、いつも音楽表現が圧巻なのですが、今作ではとくに、音楽を奏でる、聖歌を歌うとはどういう事か、そこに切り込んでいく芸術的な表現が冴えていて、読者を楽しませてくれます。
文章を追っていくうちに、頭のなかに、おごそかな聖歌が聞こえてくるような────。
そのような、極上の読書体験ができますよ。
話はすっきりと終わり、読後感も良いです。