もともと私は美術が好きで、若い頃に観たゴッホの映画の記憶もあり、興味深く拝見させていただきました。
実際に読んでみると、ただ「画家ゴッホをなぞる話」ではなく、ポンコツで厄介で、それでもどうしようもなく眩しいフィンセントと、不憫すぎるエリート弟テオの物語として、生き生きと立ち上がっていきます。
コミカルで勢いがあるのに、根っこのところではちゃんとゴッホの絵や人生の切実さが流れていて、笑っていたはずなのに時々ハッとさせられたりもします。
芸術への執着、弟との関係、報われなさ、全部いいです。
あとがきの史実解説もすごく楽しくて、本編で笑ったあとに「それ、かなり本当なんだ……」と二重に笑えます。
個人的には、IFのおまけエピソードが好きです。
生前には報われなかった兄弟が、後世で自分たちの絵のとんでもない価値を知って大騒ぎするあの温度感が、本当に最高で、ちょっと切ないですね。
美術が好きな人はもちろん、そこまで詳しくない人でも楽しめる作品だと思います。
読み終わるころにはきっと、ゴッホの絵をもう一度見たくなりますよ!!