マイナンバーカード取得という現実的な話から始まり、頭上に浮かぶ小型円盤、脳内に響くAI音声、そして政府公認マッチングシステム「河童連盟」へと繋がっていく展開が見事です。
設定だけ見れば奇抜でコミカルなのに、少子化対策や個人情報活用といった現代社会の延長線上にありそうなリアリティがあるため、自然と物語に引き込まれます。
特に秀逸なのは、奇抜なアイデアを“幸福な日常”へ着地させている点。笑えるのに皮肉だけで終わらず、読後感には優しさが残ります。
シュールコメディ、近未来風刺、ほんのり恋愛もの――その全部が心地よく混ざった一作でした。