ラブレターが増え続けるという、一見微笑ましいはずの現象に違和感を覚え、自ら調査に乗り出す京子の思慮深さが、本編で見せる部長としての姿の土台になっていると感じました。複数人に好かれているという単純な解釈ではなく「何か別の事情がある」と疑う視点の鋭さが、シリーズを通した京子のキャラクターらしさをよく表しています。
レビューで「静かな継承」と評されている通り、本編に直接繋がる事件性よりも、京子という人物がどのようにして謎を解く姿勢を身につけていったのかを描く前日譚としての役割が丁寧に果たされています。
7,935字というコンパクトな分量で、ラブレターの謎とその裏にある真相を一話完結で見せる構成は読みやすく、シリーズ本編を読んだ後にこそ味わいが増す一作だと思います。