静謐な聖堂の描写と、突如訪れる異常の対比が非常に印象的です。「時間停止」と「巻き戻し」を違和感なく織り込んだ演出が巧みで、読者を一気に引き込みます。メリアを狙う存在と、それを迎撃する騎士の正体に強い謎が残ります。何も起きていないようで確かに何かが起きたという構造が、不気味な余韻を生んでいます。短いながらも完成度が高く、続きへの興味を強く刺激する導入です。
プロローグの時間停止暗殺シーンと、産寧坂で生八ツ橋に窒息する死。この落差だけで掴みは完璧。聖堂で首が落ちかける少女と、観光地で犬を連れた男。重さが全く違う二つの死が、白い空間で交差する。犬のれもんが最後に効いている。死の間際の感覚が犬の体温で終わるのは、静かに刺さる。続きを楽しみにしております。