第21話 VS化け物
「アアアアアアアアアアア!」
「っぶね!」
腕を直し終わった化け物は、俺に襲いかかってきた。それを何とか避け、天野から聞いていた核がある腹部に攻撃する。
「────
「アアアアアアアアアアア!!!」
ゼロ距離射撃を受け、化け物が木を折りながら吹っ飛んでいく。
手にアニマを集め、レーザービームのように放出する技である
「さて……どうしたもんか」
「……いっちー」
次の一手を考えていると、天野から化け物についての情報を貰った。
「1回全力で核に攻撃したんだけど……核に傷1つ付けただけで、実際何の役にも立たない情報だけど……一応伝えとく」
確かに思い返してみれば、俺が攻撃した場所には少しヒビのような傷が見えた気がする。
いや待て───傷?
「………いや、結構ナイスな情報だ」
「え?……そんなことある?」
困惑したようにこちらを見てくる。そんな天野のために説明する。
「あいつ……そこだけまだ治ってなかった。つまり……核に近いところは治りが遅いんだ。ならそこだけ狙ってれば、勝機はある」
「アアアアアアアアアアアアアアア」
馬鹿みたいに音を鳴らしながら接近してくる。ただでさえこっちは耳がいいんだからやめてほしいものである。
「……すぅ、……はぁー……」
呼吸を整え、再度攻撃態勢となる。迫りくる化け物との距離感を間違えず、化け物の腹部を―――突く。
「――――『残光』」
「ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア」
刺さりはしたがわずか数センチほどしか入っておらず、核には届いていない。化け物が攻撃を仕掛けてくる。しかし問題はない、この技は刺すだけではないのだから。
「聞こえなかったか?残ってる光で残光だぞ?」
刹那―――刀の先端から光が広がり、爆ぜた。残光、刺した場所にアニマを残し好きなタイミングで爆発させることができる。
「ちったぁ食らったか―――――あがっ!?」
残光は確かに発動した。証拠に化け物の皮膚が焼け、腹部から血がだらだらと出ていた。しかし化け物にはそれ程効いてはおらず、お返しと言わんばかりに俺の腹部に化け物の拳がめり込んだ。
「アアアアアアアアアアア!!!」
腹部から腕を抜き取った刹那、今度は化け物の剛腕が俺の右腕を鷲掴みにした。逃げようにも、万力のような力で固定され身動きが取れない。化け物はそのまま、ゴミ屑でも捨てるかのように俺を上空へ放り投げた。
「うっそだろお前───っ!?」
視界が一気に反転し、猛烈な重力が全身を襲う。
上空で手足をバタつかせ、必死に姿勢を制御しようとしたその時──視界の端で、地面を爆ぜさせて跳躍してくる影が見えた。
「────流星群っ!」
放たれた無数の光の弾丸が、襲いかかってきた化け物の巨体を真上から叩き伏せる。凄まじい衝撃波と共に、化け物は地面へと真っ逆さまに墜落し、そこには小さなクレーターができるほどの土煙が舞った。
(どうしたもんか……)
戦いが始まって数分、既に大和のアニマは半分を切っていた。このまま消耗戦に持ち込まれれば圧倒的に不利だ。
「よっと!……意外とダメージ、入ってんのな」
ふらつきながらも着地した彼の先にいた化け物のその動きは、先ほどまでより確実に鈍い。再生能力が核へのダメージに追いついていない証拠だ。
「アアアアアアアアアアア!!」
「────もう一発、叩き込む……っ!」
着地した勢いのまま、俺は再び右手にアニマを収束させた。もう一度『流星群』を放ち、一気にトドメを刺す。その判断は正しかったはずだ。
だが、その瞬間──脳を直接焼かれるような激痛が全身を貫いた。
「っ、あ…………がっ!?」
心臓が跳ね上がり、視界がぐにゃりと歪む。復活したばかりの、まだ馴染みきっていないアニマを短時間で酷使しすぎた。無理やり全開にした出力に、回復途上の回路が悲鳴を上げ、拒絶反応を起こしたのだ。
指先に集まりかけた光が、霧散していく。技を出すのが、わずかに──致命的に、遅れた。
(動け動け動け動け動け動け動けッ!)
「アアアアアアアアアアア!!」
俺の硬直を見逃すほど、化け物は甘くない。空気を引き裂く咆哮と共に、化け物の巨躯が眼前に迫る。
回避は間に合わない。防御も、アニマが霧散した今では紙同然だ。死を覚悟したその時──。
「―――――『止まりなさい』」
「アアアアアアアアアアア??」
凛とした、聞き慣れた「女王」の声。空気を震わせるその言霊に、化け物の巨躯がピタリと硬直した。
あり得ない。赤羽がここにいるはずがない。混乱する俺の視界に入ったのは、震える手で指揮棒を掲げる天野の姿だった。
「アハ……動けはしないけど、能力まで使えないなんて言ってないもんね……っ!」
彼女の能力は音を操り、刻むもの。以前、赤羽が放った『強制』の響きを、彼女は自分の旋律の中にストックしていたのだ。
(……最高の
天野が稼いでくれた、わずか数秒の静寂。俺はその全てを、右の拳──人差し指の先に凝縮した。回路が焼き切れるような熱を無視し、指先が白く発火するほどにアニマを練り上げる。
「今度こそ、終わりだ─────」
俺は化け物の懐に飛び込み、ヒビの入った核の至近距離へ指先を突き出した。
「────流星群!!」
ゼロ距離で解き放たれた無数の光の弾丸。逃げ場のない爆発が化け物の内側を、その邪悪な『核』を、跡形もなく粉砕した。
た。
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