『Veillense(ヴェイレンス)都市プロジェクト区画』。そこではスマートグラス・Veillense(ヴェイレンス)を身につけることで『現実の上書き』がされ、誰もが理想の幸せを手に入れる。探偵イワシミズはそこで起こった、小さな事件の解決を依頼される。亡き妻のへそくりの隠し場所を探してほしい。そしてイワシミズが遭遇したネットアイドル「キラボシ」の亡霊事件。探偵イワシミズが、Veillenseに挑む近未来ハードボイルドです!
システムが何もかもを清浄にする中で、もがく探偵の物語。限りなく生を感じるのは、人間の泥くささを、愛らしく描く筆致からくるものだと思います。どなたにもお勧めします。こういうSFもあるんだなって、読んでみてほしいです。
まずSFモノなのにとても読みやすい。説明もスムーズに散らして物語の中で語られるので、イメージが浮かびやすく、まるでアニメを観ているよう。そしてSFなのにしっかりと人間が生きている温度感もあり、生活の悲喜がSF世界観にちゃんと息づいている。この作品を読めば時間経過を忘れてしまうので、後ろに何も無い時にぜひ読まれることをオススメいたします!
AIが最適化した完璧な未来都市を舞台に、システムが切り捨てた「人間の汚れ」を追う設定が非常に魅力的です。清潔すぎる世界と、拭い去れない人間臭さの対比が鮮烈で、ハードボイルドな探偵イワシミズの視点に引き込まれます。洗練された文体で描かれる独特の空気感と、物語の奥に潜む謎に期待が高まる一作です。