プロローグが掲示板形式というだけで、既に他の作品と違う。
名無しの書き込みが交差するだけで、ダンジョン100層というゴールの重さ、日本政府との裏取引の陰謀、伝説の探索者「三日月」のXデー、そして謎の「人形使い」の存在がじわじわと伝わってくる。台詞の代わりに書き込みの行間を読ませる構成が、読者を自然に世界観へ引き込む。
「ただ約束したからってだけの理由でメンバーが欠けても参加するいけず石の女」「命惜しさに挑戦すらしないチキン野郎」という対比、「今すぐ死んで欲しいのに生きて戦って欲しいという矛盾」のような人間くさい書き込みが、スレッドに血を通わせている。
「ローゼン閣下」が一言残して「あぁ~」とだけ書いて消えるオチが秀逸だ。シリアスな世界観の中で笑わせる余裕が心地いい。続きが気になって仕方ない。