プロローグから一気に掴まれました。
主人公・椎原要の前世の語りが、ただの転生死亡フラグではなく、ちゃんと人間観察と社会学的な考察になっているのがまず面白い。チャラい連中の危機管理意識、モブグループの泥沼の恋愛関係、四股男の崩壊——この前世パートだけでもブラックコメディとして十分な読み応えがあります。そして「アチアチカップルのアニサキス」という死に際の呟きがそのままコードネームになってしまう流れの馬鹿馬鹿しさが、本当に最高でした。
転生後の設定も巧みです。「もっとコミュニケーション能力があれば死ななかった」という前世の後悔から、心を読み操る「コミュニケーター」スキルを持って生まれ変わる。その能力で女王直属の冒険者トラブル解決係になるという流れに、ちゃんとした必然性があります。ギャグ設定に見えて、主人公の動機と能力がきちんと噛み合っているのが好印象です。
コードネームを早く変えたいのに女王陛下に気に入られてしまって変えられない、という主人公の不遇さも、笑えるのに妙に切ない。愛を裁く立場でありながら自分は童貞という孤独も、ただのネタではなく物語全体のテーマとして機能しているように感じます。
笑えてちょっと切なくて、気がついたら先が気になっている。そんな作品です。
まず大前提として、寄生虫には相性があります。所謂、宿主です。
で、本作のキーワードであるアニサキスの宿主ですが、主に海水魚ではありますが最終的には鯨に行き渡ります。
ですが、この過程で宿主と関係ない人間の体内に入ることで、彼らはアレルギーなどの拒絶反応を起こすのです。
本作品はまさにそんなアニサキスの悲しい運命を痛烈に、けれどコミカルに表現した作品と思われます。まあ、私自身の守備範囲が広いのもあるとは思いますが……。
けれど、寄生虫にとっての「こんなはずじゃなかった」という視点。これを交えてこちらの作品を読むと、新しい視点が広がると思います。この作品から寄生虫の魅力が少しでも伝わる(はずはないが)ことを願っております。