子供の頃、床を這う虫達は小さな異物だった。
鳴き声ひとつあげず、わらわらと殖えるだけの彼らを、私は軽蔑と不快をもって叩き潰す。
大人になって這いつくばる私は、彼らよりもきっと無様だ。
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虫という身近で不思議な存在がダークな物語に溶け込んだ。
アリやダンゴムシ、ミミズは死骸やゴミを食らい、分解する。どこかから生じては斃れたものを掃除をするのだ。そうやって自然は循環していく。
人間は普段彼らと同じ目線にはならない。彼らよりずっと巨大な二足歩行の生き物は、存在を知らずに踏みつけにする。
その足と頭が同じ位置にある時、彼らと目が合う。浮かべる表情は……