「さあさ、旦那様。今宵もあっしの語りにお付き合いを――」舞台は江戸・深川。黒羽織に素足の「粋」を貫く辰巳芸者・胡蝶(こちょう)が語る、義理と人情のお話です。華やかなお座敷での粋な駆け引き。そして、裏木戸の奥で不器用な疑似家族たちと育む温かな情け。季節の移ろいを映す美しい着物の描写や三味の音色とともに、哀しくも愛おしい人間模様が綴られます。極上の熱燗を傾けるように、ゆっくりと味わいたくなる江戸情緒溢れる物語。