「さあさ、旦那様。今宵もあっしの語りにお付き合いを――」
舞台は江戸・深川。
黒羽織に素足の「粋」を貫く辰巳芸者・胡蝶(こちょう)が語る、
義理と人情のお話です。
華やかなお座敷での粋な駆け引き。
そして、裏木戸の奥で不器用な疑似家族たちと育む温かな情け。
季節の移ろいを映す美しい着物の描写や三味の音色とともに、
哀しくも愛おしい人間模様が綴られます。
極上の熱燗を傾けるように、
ゆっくりと味わいたくなる江戸情緒溢れる物語。
3. この作品の大きな魅力
圧倒的な美意識:各話の冒頭で描かれる季節の装い(縮緬、献上帯、翡翠や真珠の帯留め等)が、主人公の情景や心理描写と見事に重なり合っている。
粋と野暮の対比:金銭や力で解決しようとする不義を退け、心意気と矜持で立つ江戸っ子の「粋」が爽快に描かれている。
凛とした強さと温かな慈愛:刀を振るう激しい殺陣と、おちかを抱きしめて添い寝する母親としての優しさのコントラストが読者の胸を打つ。
一言で言えば、「過酷な運命にすべてを奪われながらも、深川の街で『粋』と『情』を束ねて咲き誇り、大切な家族や仲間を守り抜く辰巳芸者・胡蝶の気高くも美しい生き様を描いた長編ドラマ」でございます。