謎の失踪を遂げた父親の手がかりをもとにして、失踪の真相を探ろうとするマコと彼女を助けようとするアキ。
アキは善意よりも恣意的な願望のためにマコを手伝い、自らも危険な現場へと足を踏み入れていくのだが……。
狂気的な愛情を向けられる純粋さは依存や執着を孕んだ湿度のある目線によって、官能的で繊細に瑞々しく映し出される。
ひとつひとつの描写をじっくりと咀嚼するように読み進めていくと、高い没入感を得られるだけでなく、次第に物語が作り出す幻に惑わされていく。
ミステリ・ホラー仕立ての背筋がゾクリとする表現と、狂愛ストーリーで味付けされた体の内側が疼き出すような表現が演出する二つの温度は、的確に色艶はっきりと描写される空間いっぱいの充満した香りによって、手を変え品を変え操られる。
また、直接的な関わり合いの中の温度と匂いは、彼女たちを取り巻く空間の狭さと質感を、じっとりと映し出すような気迫が感じられた。
マコを自分へ依存させようとするアキの視点で描かれるからこそ映える物語であり、ホラー味があるからこそ彼女の狂気の部分が引き立つ。
事件性と関係性とが絡み合い朦朧としたときに見えてくる世界をあなたはどう受け止めるのだろうか。
素晴らしい作品をありがとうございました。