非侵襲式でも侵襲式でもない中間のブレインマシン・インターフェースが開発された近未来。インターフェースには、キャリアピジョン(伝書鳩)と呼ばれるアプリがあり、誰でも簡単に思っていることを念話できる。作中ではそうした世代をテレパシー世代と呼んだりする。
フォーマルな場でビジネスの場面でも使われているようだし、あるいはプライベートなメールにも使われているようだ。コミュニケーションの仕組みがガラッと変わる転換期のため、このほか様々なコミュニケーションツールはどうなったのかなどとイメージが膨らむ。
こうした発想の作品群には、ある種のジャンル、サイバーパンクやポストサイバーパンクがあるが、本作はSF読者ならずとも、ウェブの一般読者にも楽しめる作りになっているのが、特筆すべき点。あくまで敷居は高くなりすぎず、絶妙なバランスでお話が作られている。
あらすじは、主人公である木上翼は伝書鳩にコンプレックスを抱えている。そんな彼には、よく悩みを聞いてくれる巣山結羽の存在が。いつでも鳩を飛ばしてね(この世界ではアプリを使うことをこう言う)と結羽から言われていた翼は意を決して、伝書鳩を飛ばそうとするが、思わぬアクシデントが……というお話。
ちょっと頼りない男性が頑張るお話で、そこにグッとくるものがある。
またレビュワーも、メールが流行りだした頃の何とも言えぬ、感覚が蘇った。
初めて異性にメールをするという場面×ドラマという枠組みもニクい。おすすめの一本。