乱世を舞台にした群像劇です。
人物描写が巧みで物語の中に引き込まれました。
治世なら能臣として称えられただろう仁君の張全義。
乱世では武力がないので周囲のパワーに振り回されますが、細かな采配で圧倒的に不利な状況での籠城を耐えようと頑張ります。
節操も無ければ誇りも無い暴君李罕之。
これだけ嫌な奴もなかなか居ないでしょう。早く天罰が下らないかなと期待してしまいます。
やたらと強い猛将を部下に付けられた康君立。
独眼龍李克用に気に入られたエース武将の李存孝を部下に持った中間管理職の苦労ぶりはサラリーマンならぐっと来るに違いありません。
そしてラスボスの朱全忠。
いつも笑っていて声を荒らげることもないのに怖いです。行動だけみればヒーローっぽいのに側に寄らんとこと思わせる描写は秀逸です。
惜しむらくは登場人物が日本では知名度が圧倒的にない人ばかりというところでしょうか。
高校で世界史を選択していて辛うじて朱全忠を覚えているかどうか。
その分、結末が読めないまま最後までページをめくる読書体験が可能です。
難しそうと食わず嫌いせずにぜひお読みください。
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