私はこのお話の世界観がとても好きです。
登場人物それぞれの思いやりの深さが温かい空気となってこの作品全体を覆っている。
人形の怨念にも、どことなく人の心に通じ合う「情」のようなものが備わっていて、しずかな余韻をもたらします。
人と人との触れ合いがいとおしく、耽美な世界と相まって、これまでにはないホラー小説となっています。
上手く言葉に出来ないのがもどかしいほど、私の心にじんわりと忍び込んで来る作品でした。
こういう才能は大事にしたい。
他人事ながら、まるで自分事のようにそう思ってしまうのはなぜでしょうか。
――そんな美しい物語に出会えたことをとても幸せに思います。
気になった方、ぜひご一読を!
あらすじは既に他の方がご紹介しているので、割愛。
読中は文章が一貫して心地よく、読後は「やさしい物語だなあ」という感想でした。すごく丁寧に大事に書かれた作品で、楽しく拝読させていただきました。
登場人物の一人ひとりに血と感情が通っている……というのは当たり前といえば当たり前のことなのかもしれませんが、作品外の時間の積み重ねや歴史があることが察せられて、とても好ましいです。
今回は寂円が主人公(というより視点?)でしたが、たとえば松雲に焦点を当てても本作と同じくらい広がりのある物語が生まれてくるのでしょう。(※個人の感想です)
そういう意味で本作は生きた物語で、とてもいいなと思いました。ありがとうございました。