人類は、王法と信仰によって居場所を築き上げた。
やがて、内なる欲望が、権力と拡張への狂おしい渇望を生んだ。
その渇望は、それぞれの居場所に生きる“他者”にとって、絶滅に等しい恐怖でしかない。
恐怖に抗おうと、勇敢で有能な者たちは立ち上がった。
しかし、抗いは一時のものに過ぎない。人類の消えることのない欲望を抑えきれず、
彼らは人類の征服によって、次々と滅びの時を迎える。
権力と欲望の世界にしがみつく人類は、自らと欲望を異にする“人類”さえも、
信仰の名の下に“魔王”と定義し、創り出した。消すべき対象として。
否定は異端、抵抗は破滅。
かくして、魔王に対抗するための“勇者” を創り出す使命は、当然のものとなっていく。
創られる者自身の意志など、お構いなしに。
絶対の神力を持ち、あらゆる力を滅ぼす不死者であっても、
その使命に背けば、同じ手法で滅びが与えられる。
だが、そんなことが、たやすくできるだろうか?
勇者の名を冠された者の意志を無視し、
勇者を創ることは、魔王を創ることと同義だ。
勇者たる少年と、魔王たる少女が一つとなるとき、
欲望への審判が下り、真の救済が訪れる。
だが、その勇者の帰るべき場所は、いずこへ?