「魔王を倒した勇者が実は最大の悪」という背徳的な設定が、主人公の壮絶な過去描写によって圧倒的なリアリティを持って迫ってきます。暗い地下室、滴る水滴、肉の腐った匂い、そして全身に刻まれた魔法陣の刺青。冒頭の地獄のような情景描写が秀逸で、読者は主人公の「殺してくれ」という絶望に強く共感させられます。だからこそ、エテルネスの手によって外の世界の光を浴びる瞬間の瑞々しさが際立っています。