第45話
令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜
第45話 仮面の剣
炎が揺れる。
夜の京。
会合所の門前。
風が吹き、煙が流れる。
その中央。
向かい合う二人。
源蔵。
そして――仮面の男。
静寂。
誰も動かない。
背後には
近藤勇、
土方歳三、
沖田総司。
そして綾。
全員が、息を詰めていた。
仮面の男が、ゆっくりと口を開く。
「源蔵……か」
低い声。
冷たい。
だが、どこか楽しんでいるようでもあった。
源蔵は答えない。
ただ竹刀を構える。
静かに。
仮面の男が続ける。
「私は――」
少し間。
だが。
その名は言わない。
代わりに。
「……お前を、試す」
そう言った。
次の瞬間――
消えた。
速い。
異様な速さ。
――ギィン!!
衝撃。
仮面の男の刀が、源蔵の竹刀とぶつかる。
火花が散る。
重い。
今までの敵とは、明らかに違う。
源蔵の足が、わずかに沈む。
だが。
引かない。
仮面の男が笑う。
「受けるか」
低く呟く。
二撃。
三撃。
速い。
重い。
――ギィン!
――ギィン!
火花が夜に散る。
その動き。
速すぎる。
背後で沖田が小さく呟いた。
「……入れませんね」
本気の声だった。
近づけない。
二人の間に入れば――
巻き込まれる。
土方も黙って見ている。
それしかできない。
それほどの戦いだった。
仮面の男が踏み込む。
連撃。
速い。
だが。
源蔵の目が、静かになる。
呼吸が整う。
一瞬。
動きが見えた。
その瞬間――
――バシン!!
竹刀が走る。
仮面の男の刀を弾く。
わずかに体勢が崩れる。
だが。
すぐに戻す。
仮面の男が笑った。
「面白い」
短く言う。
そして。
斬り込む。
さらに速く。
――ギィン!!
激しい衝突。
火花が散る。
仮面の男が言う。
「この国は……腐っている」
低い声。
戦いながら。
「弱き者が踏み潰され」
「上に立つ者は、何も変えぬ」
刃が走る。
――ギィン!!
「だから」
低く言う。
「焼く」
その一言。
重かった。
綾が息を呑む。
仮面の男が続ける。
「焼き尽くし」
「新しい国を作る」
迷いがない。
本気だった。
源蔵が答える。
短く。
「人を燃やしてか」
静かな声。
仮面の男が笑う。
「必要な犠牲だ」
その言葉。
冷たい。
源蔵の目が細くなる。
そして。
踏み込む。
――バシン!!
鋭い一撃。
仮面の男の顔へ。
次の瞬間――
――パキン。
乾いた音。
仮面の端が割れた。
小さな破片が落ちる。
仮面の下。
ほんの一瞬。
肌が見えた。
だが――
顔までは見えない。
仮面の男が止まる。
わずかに。
そして。
笑った。
「……やるな」
低く言う。
その瞬間――
ドォン!!
大きな音。
爆発。
会合所の中からだった。
炎が吹き上がる。
綾が叫ぶ。
「中で爆発!?」
煙が上がる。
悲鳴。
混乱。
仮面の男が後ろへ下がる。
ゆっくりと。
戦いを切り上げる動きだった。
源蔵が踏み出す。
追う。
だが。
仮面の男が言う。
「今日はここまでだ」
静かな声。
煙が流れる。
次の瞬間。
姿が消えた。
逃げた。
沖田が舌打ちする。
「……逃がしましたね」
悔しそうな声。
土方が叫ぶ。
「中を確認しろ!!」
隊士たちが走る。
混乱が広がる。
源蔵は、その場に立っていた。
足元。
仮面の破片。
小さな欠片。
それを見つめる。
静かに。
拾い上げた。
そして――
小さく呟く。
「……次は」
低い声。
炎が揺れる。
夜は、まだ終わらない。
戦いは――
まだ続く。
(続く)
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