第3話ここはどこ?あなたはゴブリン?


「指示通りカードは切りました…。はっ!」


既視感のある目覚め方で亮は意識を覚醒する。


「何だここは…?」


先ほどまで林にいたはずの亮は、今はどんよりと暗い洞窟にいた。

洞窟の天井にはヒモで黄色く光る石が吊るされている。


「電気代いらずの光源か…いいなぁ」


異世界に来たはずなのに現世の暮らしを考えてしまう。


「いやいや!違う!ここはどこだ?」


亮はバッと立ち上がる。すると自分にかけられていたのか、藁のようなもので作られた羽織が地面に落ちる。


「だれかが介抱してくれたのか?」


亮自身で移動した訳では無い。

つまり、誰かが運んでくれたと考えられる。


脳裏に浮かぶのは栗毛の少女。

ひっ迫した場面だったので、チラッとしか見ていないが二重パッチリの可愛い横顔は亮のオジサンメモリーにしっかりと保存されている。


「ロリコンではないけれど、あっちから好意を寄せられるなら仕方ないよな。御者の人にも運んでくれてありがとうって伝えなくちゃな」


亮は自分を運んだのは、あの少女達だと勝手に決めつける。少女が介抱して大柄の御者の人が馬車にでも乗せて運んだのだと決めつけた。


「それにしても洞窟か…。家じゃないんだな。もしかしたら結構遠いところから来ていて、この洞窟は中継ポイントか何かかな」


亮は妄想を膨らます。

オジサンパワー全開である。


「お礼は何がいいか…ん?」


ふと足元に違和感を感じ目線を移す。


…ゴブリンだ。


あのゴブリンが亮の足首に抱きついている。

ギラッした目を閉じて、抱きついているのだ。


「ゴ…ゴブリン!!」


亮は足をブンブンと振る。

ゴブリンを振りほどくことに成功した。

ゴブリンはうつ伏せの状態で倒れ込む。


「よし!逃げるか!!」


考える暇はないので、ひとまず亮は逃げようとした。

しかし、ゴブリンはすぐさま立ち上がり、亮の前に立ち塞がる。


「ギャオギャア」


ゴブリンは高い声で鳴く。

ただ、鳴いただけで何もしてこない。


説明しよう!

実はこのゴブリンはメスゴブリンである。


名前は「リリィ」


普段は群れで行動しているのだが、リリィは群れからはぐれてしまった。

泣きながら群れの仲間を探していると、馬車と遭遇。

この世界においてのゴブリンは、現世でいうところのGのような存在であり、馬車に乗っていた女魔術師は悲鳴をあげながら処理しようとしていた。


だが、その土壇場で現れたのが主人公の亮である。

リリィは亮が身を挺して守ってくれたと誤解をした。

リリィは元から異国の王子様に憧れていたため、自分を守ってくれた亮を自分の王子様だと思い、恋に落ちてしまったのである。

リリィは力を振り絞り、最愛の亮を引きずりながら運んだ。

女魔術師もリリィ達を追撃をすることはなく、無事にリリィ達は逃げられたのだ。


何とも素晴らしいラブストーリーである。


「隙あり!!」


そうとは知らない亮はゴブリンが鳴いている隙にゴブリンを避けて洞窟の外に走り出す!


「捕まってたまるかぁ!!」


普段、運動をしなかった亮だが、火事場の馬鹿力で勢いよく駆け抜けていった。


洞窟内には悲痛の鳴き声がこだました。


ああ無情。

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