石灯籠に封じられ、命の灯が消えかけていた火蜥蜴の少年・織炎。
祝息師・白与詩によって救われた瞬間、事故により彼は少女人形・彩成の中へ閉じ込められてしまう。
目覚めたら美少女人形――しかも、持ち主は人形偏愛症の青年。
このままでは“愛娘の素材”にされる。織炎の全力反撃が始まる。
白与詩の野望は、彩成に本物の魂を宿すこと。
織炎が生き延びるためには、彩成の魂そのもの――
妖異絡む感情の核である“輝骨”が必要だった。
二人は、妖と妖精が棲まう多世界を巡りながら、魂の素材を蒐集する旅へ踏み出す。
人形の身体に閉じ込められた少年と、人形を愛しすぎる祝息師という、危うくも魅力的なバディの関係性が物語を強烈に牽引する。
和風の妖異世界観、魂の蒐集という神秘的な設定、そして“人形×火蜥蜴”という唯一無二の組み合わせが生むブロマンス。
美しく、奇妙で、どこか切ない――
魂が交わる異界旅の幕が上がる。
本作は、緻密なロジックで戦う能力バトルものではない。それは、白与詩という圧倒的な存在が、壊れゆく愛弟子・織炎を慈しみ、修復し続けるという、残酷なまでに美しい「救済の記録」。
見所は、作者が心血を注いで描き出す、息を呑むような情景描写でしょうか。
和歌や八卦の意匠が散りばめられた世界観は、単なる設定を超え、一首の歌が現実を塗り替えるような、高貴で神秘的な静謐さを湛えている。
主人公・織炎は、常に崩壊の危機に晒されている。その不完全な肉体が、全能の師・白与詩の手によって「彩成」される瞬間、物語は最高潮の官能を帯びる。二人の閉鎖的な関係性は、危うくも甘美な「製作者と被造物」の絆を、これ以上ないほど鮮明に描き出している。
泥臭い人間ドラマを脱ぎ捨て、美しき全能者にすべてを委ねる悦びに浸りたい読者にとって、本作は唯一無二の、静かなる劇薬となるだろう。
この作品の一番の魅力は、とにかく美しい色彩と耽美な世界観です。
物の一つとってしても、流れるような表現をされており、まるで命が宿っているかのよう。
どちらかと言うと純文学寄りな美しさがありますが、和風という設定故にWEBでも読みやすく、同じく和風作品を書いている身からすれば「この表現力は真似したい!」と思える部分がたくさんありました。
特殊な職業、あるいは能力持ちの白与詩を始め、どのキャラクターも個性的で輝いており、掛け合いが見ていてとても楽しいですね!
かなり独特な雰囲気があるため読者によって好みが分かれそうな気はしますが、和風好きにはたまらない一作であることは間違いありません。
まだ読まれていない方は、素敵なイラストと合わせて、ぜひお楽しみください!