乗っけから衝撃的な場面を見せつけられる
この作品。辛く苦しい道程からの時間の
経過は想像に余りある。だがしかし、そこで
退く事は、決して勧めない。
何故ならばそれは苦難に取り残される事を
即ち 決定事項 としてしまうからだ。
この、畏ろしくも壮大な叙事詩を途中で
降りるなど以ての外。活字を追うだけで既に
パノラマ大画面での息を呑む様な映像が
目の前に広がって行く…。
物語は、魔獣の脅威を内包する混沌の大地
ミストピア その聖都『ピリアグリム』の
鍛治ギルド長、ヴァルト・シュタインの
苦難と冒険を軸に描かれる異世界暗黒幻想。
そこには厳格な宗教があり、政治的な
思惑があり、無慈悲な陰謀があった。
持てる 全て を失って、魔境と呼ばれる
大渓谷へと追放された失意のヴァルトの
許に、一人の異国の聖女が邂逅する事から
物語は大きな展開を見せる。
西方の機械都市で人工神サクラスに仕える
聖女アニマは、魔獣の中でも桁違いの脅威
六つの 特異点 により世界の終焉が迫る
事を彼に伝えて協力を仰ぐ。
世界の崩壊を防ぐには、ヴァルトの奇跡の
鍛治技術が必要である、と。
壮大な物語は悍ましく恐ろしい魔獣たち、
宗教対立、新たな仲間、信頼と絶望、温かな
絆、そして人工知能や終末論すらも巻き込み
加速して行く。
何が物凄いか、って。
この映像が自然と頭の中で展開して行く、
そのスケールは超弩級のエンターテイメント
ムービーを軽く凌駕する。
これは是々非々に映画化が必要な作品だと
思うのだが…どうだろうか、角川グループ!
鍛冶ギルドの長という、名実ともに優れた武器職人ヴァルト・シュタイン。
魔獣を退けるべく打ち上げた、剣やダガーは数知れず。
業物を手にした騎士や兵士は、研ぎ澄まされた刃を存分に使って、正しき――――否、乱心する者も。
その数は少なくなく、偶然とは片付けられないだろう。
事態を重く見た聖都ピリアグリムは、ヴァルトを神に背き魔に与する罪人と判断。
職人の命とも呼べる利き腕を奪い、絶望的な奥地に追放する処分を下した。
が、捨てる神あれば拾う神あり。
峡谷に分け入ってきた異国の聖女アニマは言う。
打たれる剣こそが、世界に平和をもたらす鍵である、と。
とはいえ彼は隻腕。鍛冶に必須な利き腕を失って久しい。
自身が生み出した武器が人心を惑わしていないとも言い切れない。
不安と諦観、そして天職への渇望。
葛藤の末、彼がつかみ取った物とは?
信じるべきは、いずれの神か。
否、己の腕さえも――――
読み応えや重さを求める方に、特におすすめ。
この作品は、冤罪によってすべてを奪われた武器職人ヴァルトが、自分の造った武器と過去の罪に向き合いながら、再び前へ進んでいく物語です。
序盤から宗教国家、霧に覆われた峡谷、魔獣、機械都市といった要素が濃く描かれており、独自の世界観に強い個性を感じました。ただ設定を並べるだけでなく、武器を造ることへの誇りと、その武器が人を傷つけたという罪悪感が、主人公の葛藤にしっかり結びついている点が印象的です。
特に、アニマがヴァルトのダガーを手に取り、それを呪われた魔剣ではなく退魔の剣だと認める場面には、ヴァルトの中に残っていた職人としての誇りが少しだけ救われるような重みがありました。
また、機械腕に「燃える谷」と名付け、失った腕の代わりにもう一度戦鎚を握る場面も、この作品らしい再生の象徴になっていると感じます。
単なる追放復讐の物語ではなく、罪を背負った職人が何を造り、何を守るのかを描こうとしている作品だと思います。レビューとしては中盤までの紹介となりますが、ヴァルトとアニマの旅がこの先どこへ向かうのか、続きが気になる作品です。
鍛治ギルドの長であるヴァルトは身に覚えのない罪で裁かれ、右腕を切り落とされます。
それでもなんとか霧の峡谷で生き延びて、細々と暮らしていたヴァルトのところにやってきたのは、機械都市の聖女アニマでした。
彼女はヴァルトに義手を渡し、旅立ちを促しますが、義手を使うことはヴァルトにとって神に背く行為でした。
ヴァルトとアニマの旅は、波乱に満ちていますが、恐ろしい魔物との戦闘シーンは臨場感があって、とにかくカッコイイです!
と思えば、ときどき挟まる食事の時間が微笑ましく、彼らのやりとりも楽しみの一つになりました。
けっして楽な旅ではないですが、熱いハイファンタジーをお求めの方に、ぜひオススメしたい作品です!
魔獣が跋扈する霧に覆われた大地〝ミストピア〟。
厳格なるアダマン教が支配する聖都ピリアグリムにて、〝退魔の剣〟の打ち手と称えられてきた鍛冶ギルドの長ヴァルト・シュタインは、陰謀によって陥れられ、職人の誇りたる利き腕を断ち落とされ、最悪の魔境たる大峡谷へと追放される。
三年後、峡谷のなかで生き残り、残された左腕で人知れず刃を討つヴァルトの元へ訪れたのは、西方の機械都市にてサクラス神に仕える聖女、アニマ。
世界の滅びを防ぐために、ヴァルトの打つ剣が必要だと説くアニマがもたらしたのは、機械で造られた最高の義手。
だが、それを着けることは、完全にアダマンの教えに背くという、ヴァルトにとって決して受け入れられない道であった……。
鉄と血、人と魔、罪と贖罪、異なる教義が、今、一つの剣に打ち合わされるダークファンタジー。