本作は青春の甘酸っぱさもある、ループものです。
ループものと言うと誰か死んじゃった?、となってしまう方もいらっしゃるのかと思うので一応。死傷者は出ません。
4月1日といえば、エイプリルフール。自分はこのイベントに乗ったことありませんが、この日のために専用のCMを用意する企業さんがあるくらいには浸透しているイベントです。
そして日本で4月1日といえば新しい出会いの季節。入園式、入社式、そして入学式。
ストーリーラインに「これは、同じ一日を重ねる少年と少女が、本当の関係を見つけていく物語」と記されていますが、この「本当」、「真実」を導くために「嘘」「エイプリルフール」が使われている。嘘みたいな真実、エイプリル・ループ。とてもお上手です。
本作のメイン人物はふたり。
中学で仲良しだった友人たちとは別の高校に進んだ主人公の染井春一くん。
引っ込み思案そうな同級生の少女、吉野仁香さん。
死傷者ゼロとはいえ、同じ日を繰り返せばたいていの人はウンザリします。
変わらない会話、変わらないニュース番組、変わらない朝食メニュー。日捲りカレンダーはいつも同じ日を示している。
たとえ、毎朝同じものを食べている、ニュース番組は観ず、カレンダーは日捲りではなくマンスリーなんていう、レビュー者みたいな人でも毎日入学式は勘弁となるでしょう。「変わらない日常を楽しむ」にもほどがあります。本当に何も変わってないのですから。
なぜループしているのか、春一くんたちはどうやってこのループを突発したのか。その読了感は爽やか。青春を生きてるなぁと感じさせる小っ恥ずかしい行動は、微笑ましくもあります。
親しみやすい文体で、比較的素直な展開。何度も言いますが死傷者はゼロです。よって、ギスギスした日々に疲れた、できるだけ平和なお話を読みたい、という方に、とくにお勧めです。