第4話 同居

「ねぇ姫奈さん?」


「なんでしょうか?」


「なんで僕の部屋に布団敷いてるの?」


私達は、学院内にある、ショッピングモールへと買い物にいった後、何故か、私の部屋で一緒に過ごすことになり、部屋で姫奈がくつろいでいた。


「何って、見ての通り布団敷いてるんですよ?」


「敷いてるって何の為に?」


「それは勿論、これからこの部屋で一緒に住むことにしたからですけど?」


「 ...... え?」


茫然自失で、立ち尽くしてる私を横目に、彼女は淡々と話しを続けた。


「もしかして、家事の分担をどうするかを、心配なさってるんですか?それなら任せて下さい!料理の腕はイマイチですが、洗濯物や掃除なら、完璧にこなせますので!」


「いや、そうじゃなくて、男女が二人、同じ屋根の下で暮らすのはさ、その ...... 周りから色々と誤解されるかもしれないしさ?」


私達が、同じ部屋で二人、暮らすなんて危険すぎる。

 何よりも私だって立派とした男だ。正直、こんな美少女と同じ部屋で暮らすなんて、理性が持つかわからない。


「それなら大丈夫じゃないですか?だって空くん。ほぼ女の子みたいなものじゃないですか?」


「それはその、そうかも知れないけどさ ...... 」


「私、自分の部屋に一人で居ても退屈なだけですし、それに、同じ部屋で暮らしていた方が、何かあった時、すぐに作戦を練られて良いじゃないですか ?」


「それは、確かに ...... 」


言ってることは、別に間違っちゃいない。

が、しかし、ここで彼女に屈しては ...... 。


「駄目、ですか?私には空くんがいないと駄目なんです ...... お願いします」


姫奈が眼をうるうるとさせながら、上目遣いでお願いしてくる。

 この瞬間、私の理性は崩壊し、気づけば、一緒に住むことを了承していた。


「ふふっ、ありがとうございます」


「まったく ...... 」


してやったりと言った様子で、ニヤッと笑う彼女をみて、私はいつも彼女相手だと、甘いなと、少し反省した。


「外、だいぶ暗くなって来たな ...... 」


時計を見ると、時刻は午後八時を回っていた。


「よし、そろそろご飯にしよっか」


「本当ですか?空くんのお料理を頂けるなんて、私光栄です!」


「そんなこと言って、最初からこれが目的でしょ?」


「あら、バレてました?」


学院に入る前に、姫奈に料理を振る舞ったことがあったのだが、その時に、私の料理が気に入ったらしく、それからも何度か私の家に来ては、料理を作ってくれとお願いされることがあった。


「お見通しだよ、そんくらい。何年の付き合いだと思ってるのさ?」


「もう、五年ですか。私たちが出会って ...... 」


この五年間は、色んなことがあった、楽しいことも、苦しいことも。

 短いようで長い、そんな五年間だった。


「出来た。姫奈、これ、テーブルの上運んでもらえるか?って速いな ...... 」


 そうこうしているうちに、料理が完成したので、皿に乗せていたのだが、私が頼むより先に、姫奈がテーブルへと料理を運んで行ってくれていた。


「美味しそうな匂いがしていましたので、そろそろ出来上がる頃かと思いまして」


「じゃあ、せっかく出来上がったことだし、冷めない内に食べちゃおっか!」


私達は、両手を合わせた後、テーブルに並んだ、料理を頂いた。


「流石、空くんです!今日のご飯も美味しいです!」


「それは良かった。沢山あるから、遠慮しないで食べてね?」


生前から、料理をしていたこともあり、料理の腕前には自信があった。

 自分で言うのもあれなのだが、私はプロの料理人と互角に張り合えるくらいには美味しいと思ってる。


「そういえば、そっちのクラスには、手応えのありそうな生徒はいましたか?」


「そうだな〜、的に回したくない奴が一人と、味方になってくれそうな生徒が一人、と言った所かな。そっちこそどうだった?」


「何人か気になる生徒は見かけましたが、私達の、脅威になりそうな生徒は一人もいませんでしたね」


「まあ、Bクラスからしたら姫奈が一番の脅威みたいなものだろうからね?」


「そう言えば、一つ面白い話しを今日、聞きましたよ?」


「面白い話って?」


姫奈が不適な笑みで話すのを見て、少し嫌な予感がしたが、一応話を聞くことにした。


「何やら、Aクラスの生徒で、ブロンド色の髪をした、小柄で可愛い女の子が入学して来たらしいですよ?私のクラスは、今日一日、その話でもちきりでしたよ。」


「あの、姫奈さん?まさかとは思うんですが、他の生徒に、変なこと吹き込んだりは ...... 」


「別に大したことは何も ...... ただ、私が昔からの約束しあった仲だということと、昔から男子からの人気が凄かった、とだけは伝えましたが?」


 嫌な予感は的中した。私の予想通り、いや私の予想よりも斜め上の回答を言ってくれた。

 全く ...... おかげさまで、私は、明日教室で聞かれまくることが確定した。


(明日聞かれたら何て答えよう ...... )


「ご馳走様です。とても美味しかったですよ。後、食器は私が洗いますから、食べ終わったお皿は、流しにでも置いといて下さい」


 そう言うと、彼女はキッチンで、使い終わった食器を水で洗い流した。


         *


 皿洗いや、お風呂を済ませ、私達は、それぞれの布団に入り、就寝しようとしていた。


 私が眼を瞑り、寝ようとしていると、私が眠っていると勘違いした、姫奈が、私の顔を覗き込んだ。


「ふふっ、可愛らしい寝顔ですね。そんな顔してたら、いつか襲われちゃいますよ?」


私が何とか、ニヤけてしまいそうな口角を抑えているとは知らず、姫奈は会話を続ける。


「全く、私だって本当は我慢してるんですよ?それと、これは私以外の女に取られない為なので、我慢して下さいね?」


その瞬間、私の額に何か柔らかいものが、当たったのが伝わった。

 私は、その瞬間に恥ずかしさのあまり、顔を赤らめて、意識を失った。



 


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