7年付き合った恋人に突然別れを告げられたサオリが、一人の夜を肴と酒で紛らわす姿が描かれる。キンキンに冷えたビールやサワラの炭火焼きといった食欲をそそる描写が、孤独な心の対比として鮮やかに機能している。見知らぬ老人との交流を通じ、喪失感を抱えながらも前を向こうとする大人の哀愁と温かさが同居する一作だ。居酒屋の喧騒と酒が、傷ついた心を優しく包み込む過程が丁寧に綴られている。晩酌が好きな人や、人情味ある物語を好む読者におすすめできる。