結末まで読んでも“解釈”が難しいタイプのお話でした。「何か読み飛ばしてるのかな?」とか思いながら行ったり来たり。
作者の餡団子様ご本人は「深く考えなくていい」とあらすじに書いておられますが、人によって解釈に幅が出そうなのがまた良いと個人的には感じました。物語の意味をはっきりと記述しないのもまた技術だと思うので。
主人公の「私」こと菜乃は、とある当主に仕える使用人。彼女は当主に得意の『牛鍋』を振る舞いながら、過去の思い出話を語る――。
以前仕えていた由子という令嬢との百合のような一幕に心がホッコリするとともに、どこかホラーじみた不穏な空気が流れます。直接的なホラー描写は全然ないのに、「絶対何かある」と思わせる筆運びが巧妙。
ホラーがお好きな方にもミステリーがお好きな方にもオススメの一作です!
百年前に文豪が書いた私小説のような文体と雰囲気の作品だった。
主人公はある屋敷の使用人、菜乃。
彼女はご主人様に自らが作った牛鍋を食べさせながら、自身がこの仕事を辞めることと、その理由を話す。
不思議なことに、彼女は一年たったらこの屋敷での仕事を辞めるつもりだったらしい。
それはなぜなのか?
菜乃は理由を語る際に、自身が初めて仕えた家の話とそこで出会った波崎由子というお嬢様について言及する。
彼女は子供っぽくて自由奔放で不思議な魅力のある人物で、そんな由子と菜乃の百合っぽい関係が描かれる。
そして暗に示される真相……。
百合作品としてもホラー作品としてもミステリー作品としても文学作品としても楽しめる、素晴らしい作品でした。おすすめです。