本作は、タイトル通りに、何と、「会議録」を物語へと構造化した意欲作となります。
作者様は、きっとビジネスの経験がおありです。
重大な議題のはずなのに、「高度な政治的判断により現状維持」という結論へ到達する過程が、日本における会議の縮図であり、社会人であれば、だれもが「あるある」として共感できる内容となっております。
この作品をさらに押し上げているのが、「歴史の言いにくい史実」をやさしくスルーする秀逸なコメディのセンスです。
歴史好きをニヤリとさせ、詳しくない人も惹きつける言い回しと、キャラクター設定。
すばらしい。
豊臣と徳川が共存する不思議な戦国時代を舞台に、歴史の重大事件を「高度な政治的判断による現状維持」でやさしく丸く収めていく、現代のサラリーマンにも刺さる爆笑の歴史回避会議コメディ。
社会人なら誰でも「それな!」となる展開を、是非堪能していただければと思います
おすすめいたします。
豊臣と徳川が共存している「少し不思議な戦国時代」という前提だけで、この会議コメディの方向性が分かる。議題は重大なのに毎回「高度な政治的判断により現状維持」という万能の結論に流れ着くその繰り返しの構造が、現代の会議のあるあるをそのまま戦国時代に移植している。
記録係として一人称を担う小早川秀秋の立ち位置が秀逸だ。レビューで触れられている通り、議題が発表される度に内心で悲鳴を上げる彼の視点だからこそ、歴史の当事者たちを少し引いて観察できる。関ヶ原の遅参も転進も、すべて議事録としてやさしく処理されていく様子に、笑いながらもどこか歴史上の人物たちへの優しさを感じる。
「だいたい」という言葉に宿る曖昧さの心地よさが、111話という長さを軽やかに支えている一作。
このシリーズは、歴史上の重い出来事を扱いながらも、終始ゆるい会議コメディとして成立させているのがとても面白かったです。
特に秀秋の一人称が秀逸で、毎回議題が発表された瞬間に心の中で悲鳴を上げる流れが定番になっており、読者も自然と次は誰が議題になるのか楽しみになります。記録係という立場だからこそ、歴史の当事者たちを少し引いた目線で観察できているのも魅力です。
歴史ネタを知っているほど笑えますが、同時に歴史上の人物たちへの優しさも感じられる作品でした。高度な政治的判断という万能結論で全てを包み込みながら、実は誰よりも歴史の痛みを理解している物語だと思います。
【レビューコンテスト応募】
少し不思議な戦国時代の、これまた少し不思議な会議。
文がとても読みやすいので、歴史に詳しくない私でも読んでいて楽しいです。
会議中の小気味よい会話を目で追うのは爽快感がありますし、会話や記録の独特な空気感がどんどん癖になっていきます。
会議での言葉選びは穏やかですが、不穏さや緊迫感もうっすら漂っているのが興味深いです。
ずっと、どこかが不思議で不安定。
丁寧な言葉と優しいオブラート表現に、やわらかーく毒と闇がしまわれているように感じてしまう……のですが、毎度会議の"だいたい"に煙に巻かれる感覚が唯一無二。とても惹かれるものがあります。
歴史が気になる! 知りたい! という気持ちの背中を押してくれる魅力がある小説なので、少し歴史の知識を得てから読み返すとまた違った世界が見えるのが素敵です。
登場人物が抱えているものの奥が深いし、この時代の行く末がどんどん気になります。
ここにしかない"だいたい"の魅力、皆様もぜひ楽しんでみてください。