重力使い。
元英雄。
県警所属の極秘SP。
そう聞けば、とてつもない強者を想像するかもしれません。
けれど本作の主人公・遠山えりこが守っているのは、世界征服でも国家機密でもなく、「誰かが帰ってこられる日常」です。
市役所の床を磨き、がめ煮を作り、息子の宿題を気にかけながら、世界の綻びや異界の脅威を掃除していく。
その姿は派手なヒーローというより、誰よりも頼もしい“大人”でした。
特に「消去された迷子」編は秀逸です。
世界から存在を消されかけた少年に向けられる、えりこの優しさと強さ。
「それが生きてるってことの重さよ」
という言葉には、本作が描きたいテーマが詰まっているように感じました。
最強能力による無双ではなく、
誰かの居場所を守るための戦い。
壮大な異世界SFでありながら、
最後に心に残るのは温かい食卓と人の優しさです。
福岡を舞台にしたこのシリーズが好きな人なら、きっとこの“最強のお掃除おばさん”も好きになると思います。