最終章 前半
魔王 vs レイ
――世界の終わりを決める戦い
魔界。
黒い空。
赤い雲。
そして大地の中央にそびえる巨大な城。
魔王城。
その玉座の間。
巨大な扉がゆっくり開いた。
ギィィ……
そこに立っていたのは一人の男。
黒いマント。
剣を背負った冒険者。
今の名前は――レイ。
だが。
かつての名前は。
マムルーク。
玉座の上。
一人の男が座っていた。
魔王。
ゆっくりと立ち上がる。
「久しぶりだな」
レイが答える。
「……初めましてだと思うけど」
魔王は笑った。
「いいや」
一拍。
「千年ぶりだ」
沈黙。
巨大な魔力が空間を満たす。
だが。
不思議と殺気はなかった。
魔王がゆっくり歩く。
「覚えているか?」
レイが言う。
「少しだけ」
魔王が笑う。
「お前は昔」
一拍。
「世界最強の人間だった」
レイは肩をすくめる。
「聞いた」
魔王が言う。
「そして」
一拍。
「俺と戦った」
レイが目を細める。
「その時」
一拍。
「決着ついた?」
魔王は笑った。
「つかなかった」
レイが言う。
「じゃあ」
一拍。
「今日決めるか」
魔王が頷く。
「それでいい」
沈黙。
次の瞬間。
空気が爆発した。
魔王が消える。
瞬間移動。
拳。
レイの顔面へ。
ドォン!!
レイは剣で受ける。
衝撃波。
城の柱が砕ける。
レイが笑う。
「速い」
魔王が言う。
「お前もな」
レイが突進。
剣。
超高速斬撃。
魔王が受ける。
ガキン!
火花。
魔力爆発。
二人の戦いは。
人間の領域を超えていた。
城が崩れる。
大地が裂ける。
魔界の空が震える。
魔王が笑う。
「やっぱりだ」
一拍。
「マムルーク」
レイが言う。
「今はレイ」
魔王が拳を振るう。
レイが避ける。
魔王が言う。
「神に記憶を消されても」
一拍。
「強さだけ残ったか」
レイが笑う。
「多分」
剣を構える。
「才能」
魔王が笑った。
「傲慢だな」
魔力が爆発する。
魔王の体が変形する。
巨大な翼。
角。
黒い炎。
「魔王形態」
レイが言う。
「派手だな」
魔王が言う。
「お前もやれ」
レイが静かに息を吐く。
【運命支配】
【神性領域展開】
光が溢れる。
空間が歪む。
世界の法則が揺れる。
魔王が笑う。
「それだ」
一拍。
「神の後継者」
二人が同時に動く。
衝突。
爆発。
光と闇。
大地が吹き飛ぶ。
魔界の山が崩れる。
レイが斬る。
魔王が受ける。
魔王が蹴る。
レイが飛ぶ。
超高速戦闘。
誰も見えない。
だが。
互いに理解していた。
魔王が言う。
「覚えているか」
レイが聞く。
「何を」
魔王が言う。
「千年前」
一拍。
「お前が言った言葉」
レイが止まる。
魔王が笑う。
「俺たちは」
一拍。
「戦うしかない」
レイの記憶が蘇る。
戦場。
魔族。
神。
そして。
若い頃の自分。
マムルーク。
言っていた。
「世界が壊れるなら」
一拍。
「俺が壊す」
レイが笑う。
「言いそう」
魔王が言う。
「だから」
一拍。
「神はお前を管理者にした」
沈黙。
魔王が剣を構える。
「だが」
一拍。
「俺は違う」
魔力が膨れ上がる。
「俺は」
一拍。
「世界を壊す側だ」
レイが剣を構える。
「いいね」
一歩。
「わかりやすい」
魔王が突進。
レイも走る。
二人が衝突。
最後の一撃。
光。
闇。
世界が止まる。
そして。
静寂。
煙が晴れる。
そこに立っていたのは。
レイ。
魔王は膝をついていた。
血を吐く。
そして。
笑った。
「負けたか」
レイが剣を下ろす。
「いい戦いだった」
魔王が言う。
「聞かせろ」
一拍。
「マムルーク」
レイが答える。
「レイ」
魔王が笑う。
「そうだったな」
体が崩れる。
魔力が消える。
最後の言葉。
「世界」
一拍。
「面白くしろ」
魔王。
消滅。
沈黙。
魔界の空。
嵐が止む。
レイは空を見上げた。
静かな声。
「さて」
一拍。
「次は」
遠く。
天の上。
神の声。
『レイ』
レイが笑う。
「やっぱり」
一拍。
「あんたも来るよな」
世界の最後の戦い。
それは。
神 vs レイ。
まだ終わっていない。
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