幕間2 助けた騎士からの視点
「あの新人は、たぶんまた死にかける」
俺は王都騎士団に入って八年。
新人冒険者の救出任務は珍しくない。
だが。
同じ奴を三回助けたのは初めてだ。
「隊長」
部下が言う。
「またあの新人です」
森の奥。
巨大な狼。
グレートウルフ。
そしてその前に――
「うおおおお!!」
突っ込む男。
俺は額を押さえた。
「……またか」
レベルを見る。
新人 Lv6
狼。
Lv18
俺は思う。
(勝てるわけないだろ)
新人の剣。
弾かれる。
狼の爪。
吹き飛ぶ。
「はぁ……」
俺は弓を構える。
矢を放つ。
狼の目に刺さる。
部下が言う。
「隊長」
「なんだ」
「なんであの人、毎回突っ込むんです?」
俺は少し考えた。
そして答える。
「多分」
「はい」
「さっき勝ったんだろ」
「……ああ」
新人はよくある。
スライムに勝つ。
ゴブリンに勝つ。
狼に勝つ。
そして思う。
俺強い。
そして。
死にかける。
新人を担ぐ。
軽い。
HPほぼゼロ。
部下が聞く。
「隊長」
「なんだ」
「助ける必要あります?」
俺は笑った。
「ある」
「なぜです?」
少し考える。
そして言う。
「あいつ」
「はい」
「三回とも」
「はい」
「逃げようとはしてた」
完全に馬鹿ではない。
ただ。
判断が遅い。
街に戻る。
ギルド。
受付嬢。
「……またですか」
俺は言う。
「まただ」
受付嬢が書類を書く。
慣れている。
完全に。
俺は聞く。
「この新人」
「はい」
「前も同じこと?」
「二回です」
「今回で三回」
俺は笑った。
「すごいな」
「何がです?」
「普通は」
指を三本立てる。
「一回でやめる」
「二回で怖くなる」
「三回目は」
俺は言う。
「才能だ」
受付嬢が呆れた顔をする。
「褒めてます?」
「半分な」
俺は帰りながら思う。
あの新人。
たぶん。
またレベルを上げる。
そして。
また慢心する。
そして。
また死にかける。
でも。
もしかしたら。
十回。
二十回。
三十回。
それを繰り返したら。
いつか。
本当に強くなるかもしれない。
俺は笑った。
「まあ」
空を見る。
「その前に」
部下に言う。
「次の救出準備しておけ」
「え?」
「たぶん」
俺は言う。
「来週またあいつだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます