暖かく、やわらかな空気に包まれたメルヘンファンタジー。
色彩の浮かぶような文章で描かれる世界は、優しい絵本のようでありながら、その奥にとても深いテーマが流れています。
兵器を作っていた技術者が死後、メルヘンの世界で人を喜ばせるものを作るようになる。
同じ技術でも、使い方ひとつでまったく違う世界になるのだと気づかされました。
重くなりがちな題材を、言葉の綾とユーモアでやわらかく包み込み、温かい物語へと変えているのが見事です。
読み終えたあと、少し肩の力が抜けて、「もう少し優しく生きてもいいのかもしれない」と思わせてくれる作品でした。
子ども向けのようでいて、大人にこそ響く物語。
忙しい日々の中で忘れてしまいがちな大切な感覚を、そっと思い出させてくれます。