島田まかろん三世さんの作品群の中で、これは最も骨格が太い。社会派ミステリー×ブロマンスという組み合わせで、91,092文字・完結済みという充実の分量です。
IT社長の毒殺、大物政治家、そして1995年1月16日の神戸浮浪者殺害事件三つの糸が静かに絡み合っていく構成が見事で、「映像のような描写と会話の圧」というレビューの言葉が的確です。神谷と浅倉のドライブ、同居、温泉宿事件を追う過程で生まれる二人の刹那的な時間が、ミステリーに横糸として機能しています。
異世界ファンタジーとBLと現代ミステリーを同じ熱量で書ける作家は稀です。島田まかろん三世さんの最高到達点のひとつだと思います。
社会派ブロマンス小説と聞いて読みに来ました、とりあえず試し読みのつもりが一気に読んでしまいました。
神谷が追いかける事件が小説の大きな柱になっていて読みやすいです。事件が縦糸なら浅倉と神谷の友情?愛情?が横糸になっていて、アクセントとして最高でした。
ドライブやしばしの同居が、なにかロードムービー的というか、刹那的に一緒にいられた大切な時間という感じで感動的です。二人はきっと事件後二度と会わないか、会っても他人行儀に振る舞うのでしょうが、二人の心の中には、あの日々の記憶が温かくほろ苦く、ずっと残るのだろうなと感じました。
取材の様子がリアルに感じられて感心してしまいました。私も今新聞記者が主人公の話を書いているのですが、そのあたりがどうしても映画やドラマで見た感じになってしまって書けないなと思っていたので尊敬します。
あとは会話の自然さも好きでした。新宿だ→歌舞伎町?→いや、西新宿 みたいな会話のやりとりがリアルで好きです。
素敵な小説をありがとうございました!