体育会系の男社会だった職場が、ある朝なぜか全員“オネェ化”している。
設定だけ見るとかなり強めのコメディなのに、読んでみるとただのギャグでは終わらない作品でした。
怒鳴り声や男らしさで回っていた職場が、やわらかい言葉とノリで回り始める。
その変化が面白いだけでなく、「素の自分で働ける場所って何だろう」と考えさせられます。作者の近況ノートでも、書きたかったのはギャグだけではなく、素の自分でいられる場所への感覚だと触れられていました。
文章はとても読みやすく、会話のテンポもよいので、するすると読めます。
主人公の戸惑い、少しずつ解放されていく感じ、そして現実との距離感が短編の中にきれいにまとまっていて、作風がかなり好きでした。
笑える。
でも、読み終わると少しだけ胸に残る。
そんな「軽さ」と「苦さ」のバランスが魅力の作品だと思います。