鰻割烹料理店の店長、月影さん。震災時の経験を綴った、半ノンフィクションです。
日本のどこでお店を構えておられるかは分かりませんが、お作を拝見する限り、東北の方なのかなあと拝察いたします。
津波が押し寄せる地域ではなかったようですが、それでも、老舗割烹は壊滅的な被害を受け、電気などのインフラも止まり、街が平常を取り戻すまでに2週間ほどの時間を要しました。
そういう時にこそ、人間の誇りや尊厳というものが試されるもので、月影さんと親方ご夫婦はお店の食材(鰻とか)を惜しみなく使って、ワンコインで弁当を供し続けます。他方で人の弱みに付け込んで3倍の値段で売る弁当屋が現れたりして(潰れちまえ!)、人間社会のリアルな息遣いと言ったものが伝わってきました。
確実に言えるのは、そうやって苦境に陥った中で高潔さを保ったことが、今の月影さんに繋がっているということでしょう。
絶対に教えてくれないでしょうが、いつか食べに行って見たいものだと思いました。
震災のお話を「これいいですよ」とレビューするのは、ちょっと気が引けるのですが、わたくしを止めることはできなかったのです。
これは一読の価値は十分にあります。是非どうぞ。
親方さんの心意気がカッコいい。
素敵です!
真面目な話、どこかで戦時中兵隊にとられた人が「上官からの暴力には慣れていったけれど、空腹には慣れることができなくてつらかった」と話していた記事を読んだことがあります。
それと、やなせたかし先生だったかな(間違ってたらすみません)「善悪の価値観は時代によって反転することもあるけれど、それでも『お腹を空かせている人に食べ物をあげる』という行為は唯一不変の『善』なのではないか」とおっしゃっておられました。
食べ物で身体が作られる。
長じればそれは食べ物で思考が作られるということで、お腹がすいてたら悲しくて頑張れないけど、満腹になると前向きになれるってあると思うんですよ。
だから、「あたたかで美味しい鰻」を必要な人へ行きわたるよう格安にしてさばいていった親方とサポートしていた女将さんと主人公はまさにヒーローでしょう。
その親方の心意気を余さず継承し店に立つ主人公も最高にカッコいいし感動でジーンときます!
たくさんの方に読んでもらいたい物語です。