静谷悠氏の新作『ワルキューレの沈黙』へつながる掌編である。本作では、深夜の艦内を舞台に、軍人同士の簡潔で張りつめたやり取りが心地よいリズムで描かれていく。その会話の端々ににじむ階級意識や距離感、そして言外に沈む感情が、短いながらも強い印象を残す。本編の空気をひと足先に味わえる一篇として、艦もの・海軍ものが好きな読者にはたまらない。