その音だけが残った夜──ほねなぴの余韻

 なんという静かな衝撃……。
 
 まるで深夜にふと聞こえる「カリ、カリ、カリ」という音に、心がじわじわと削られていくような読後感でした。ほねなぴ、という奇妙で愛おしい存在をめぐる物語は、ぬいぐるみの奥底にひそむ孤独や祈りのようなものまで、ひっそりと掬い上げてくれますね。

 淡々とした描写の中に、夢と現実の境界がぼやけていく感覚。読み終えた今も、心のどこかであの音が響き続けています。なんだか、少しだけ優しくなれる気がしました。