9月24日 毎週小説 不思議なサービスエリア

プロニンニク

不思議なサービスエリア

 「これは昔私が体験した少し怖い経験です」

夜の高速道路、ラジオに耳を傾けるとそんな話しが流れていた。

「昔、高速に乗って山梨に向かっていたんです。」

時間は12時過ぎ、あたりは真っ暗で車は一つも走っていない。

少し休憩しようかと近くのサービスエリアによる。

「長く走っていたのかよく疲れてしまってとあるサービスエリアによったんです。」

やはりこの時間だからか駐車場は空いている。

「もう時間も遅かったからか車も人も誰もいなくて、少しお腹が減ったからフードコートに向かったんですけどやっぱりフードコートもこんな時間だからか一店舗だけしかやっていなかったんです。そこで軽食を食べようと言ってみるとなんと、、、、、」

だめだだめだ、こんなん聞いてないで早くトイレと軽食済ませないと。

やっぱりこの時間帯はほんとに人がいない。

お店もほとんどやってないし、あれ、コンビニも閉まってるのか。

高速のサービスエリアだしやってなくても仕方ないか。

そう思い、フードコートの方に足を進める。

しかし、フードコートと言ってもここは小さなものだ。

全部で3店舗ほどしか入っていないしそれにそのうちの2店舗はやっていない。

さっきのラジオと同じような状況に少し気味悪くなってきたが空腹には変えられない。

「すみません、海老天丼一つ。あと、蕎麦つけてください。」

帽子を深く被ってよく顔の見えない店員さんに注文をする。

「分かりました、少々お待ちください。」

野太い低い声でそう返事が返ってくる。

女性?かと思ったが声を聞いてからはどちらかわからなくなってくる。

数分待つと注文した時にもらったアラームが鳴る。

「お待たせしました、ご注文の海老天丼と蕎麦です。」

「ありがとうございます。」

それから海老天丼を持って席に着く。

衣は萎れていて蕎麦はとても乾燥しているように見える。

気のせいだろうと食べてみると思っていたよりまずい。

こんな時間に注文したのだ、店員さんも不機嫌なのはわかるがこれはないだろう。

3、4口食べてからすぐ店に食器を返してしまう。

「あれ、お客さん。全部食べないんですか?。」

そう聞かれて私は間が悪くなって逃げるようにサービスエリアを出てしまう。

本当に不味かった、だから残してしまっても仕方ないだろう。

車についてエンジンをかける。

「へーそうなんですか、それは怖かったですね。」

さっきまでついていたラジオがついた。

「お’’客’’さ’’ん’’!!!!!!」

車の後ろの方から大きな声が聞こえる。

「お’’残’’し’’、お’’残’’し’’。」

車のトランクをバンバンと叩いている。

私は無我夢中でアクセル全開にしてそこから逃げようとした。

幸いにも駐車場には車は一台もいない。

一気に出口に向かって車を走らせた。

それでもあの女は走ってくる。

時速は六十キロ近い、人間が走って向かってこれるような速度じゃないはず。

高速に入ってさらにスピードを上げる。

80、90、95、100。

もう追ってこないかと後ろの方をミラーで確認する。

いない、逃げ切ったか。

そう思ってホッと胸を撫で下ろす。

すると隣のドアをゴンゴンと叩かれた。

ゆっくりと横を見る。

「お客さん、お客さん」

あいつだ、あいつがおってきている。

「本当そんな怖い事になったらどうしたらいいんですか?」

「簡単ですよ、祓清浄と3回唱えるんです」

「祓清浄ですか。」

祓清浄?もしかしたらもしかするか。

ラジオから聞こえていた呪文に一途の希望を託して3回唱える。

「祓清浄、祓清浄、祓清浄。」

するとだんだんあの野太い声が遠ざかっているような気がした。

それからある程度車が通るようになってきてもう一度サービスエリアで休憩した。

スマホでさっきのサービスエリアを調べてみるとそこはもう40年前に閉鎖していたらしい。

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