同級生と再会したら全員オネエでした。

凸面

〈 同級生と再会したらみんなおネエでした 〉 

辻堂 剛(つじどうつよし)

オネエにならなかった一般人(?)


早乙女 亮介(さおとめりょうすけ)

パワー系ピュアオネエ。高校時代は主人公と同じアメフト部だった。


榎本 源 (えのもとげん)

艶かしいクールオネエ。オネエ高校時代は主人公と3年間一緒のクラスだった。


聖 豪次郎(ひじりごうじろう)

からかい上手のキュートオネエ。高校時代は優秀な生徒会長だった。





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卒業式後、卒業証書の筒を片手に河川敷を歩く四人の男子高校生。



剛「はぁ~卒業式終わっちまったな~!」


亮介「女子めっちゃ泣いてたな!」


豪次郎「え〜?亮介も泣きそうだったじゃん」


亮介「るせーな!」


源「ふあ…(あくび)…俺半分ねてたかも…」


剛「まじかよ!卒業式寝るとかおまえ図太すぎだろ」


豪次郎「卒業しても連絡よこせよな。とくに、源〜」


源「なんで名指しなんだよ」


豪次郎「なーんか音信不通になりそーじゃん?」


剛「いや、わかる。」


源「全人類が豪次郎みたいにLINEをマメにする人間だと思わないでよ。」


豪次郎「へいへーい、まったくもう~。じゃあ俺から絡みますよ〜」


亮介「おれ絶対毎日LINEするわ!」


剛「それはそれでダルくね??」


源「亮介はほんとバカ」


豪次郎「バカ大臣」


亮介「んだとコラ、俺からの連絡をありがたく思えよ!」


剛「あははは」



(ひと呼吸おいて)



剛「………なあ、俺らさ…」


亮介「なに、剛」


源「ん?」


豪次郎「なに?」



剛「また、会えるよな…また…絶対会って…なんか色々遊んだり…あと酒飲んだりとかさ……しような。」


亮介「っははは!あたりめーだろ!何言い出すかと思ったらそんな事かよ!」


豪次郎「おや〜?なんだよ剛~!おまえも泣きそうになってんじゃないの~?」


源「ふふ、どーせまたすぐ会うでしょ。」


剛「…そっか!だよな。ありがとうみんな」




剛(こうして、俺たちは高校卒業後、それぞれの道を進んだ。全員のタイミングが会うことはなかなか無く、かと言って2、3人で集まることもなく、連絡も徐々に…徐々に減っていった。


こうして、気がつけば10年の時がたっていた。

仕事も並に乗り、生活が安定し始めた頃……アイツらは元気かなと、ふと思った。


『よー、元気?年末年始どっか予定開いてる?』


そんなLINEを、懐かしいグループに、ポツリと送った。すると、10年間会ってなかったのが嘘みたいに、みんな快い返事を返してくれて、いとも簡単に4人で集まる予定が出来てしまった。

高揚感が押し寄せたが、不安もあった。


アイツら、どう変わってんのかな、結婚してたり…子供がいたりするんだろうか。俺の内面は何も変わってない。変われないまま10年経ってしまった。


俺は期待と不安を胸に、当日を迎えた。)




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剛(当日俺は5分前に予約の居酒屋の前に着いた。


着くと同時に、俺の方に駆け寄ってくる3人の人影があった。)



亮介「つよしぃ~ッ!久しぶり~♡」


源「ちょっとアンタおそいわよ、いつまで待たせんの。」


豪次郎「アンタぜーんぜん変わってないわねえ~!」


全員「え?」




---





剛「えーーーーーーっと…もっかい説明してもらってもいいかな…あの、注文しながらでいいんで…」


亮介「は~い、アタシ〈りょんりょん〉です!おかまバーの店長、やってるわよぉん♡♡あ、生ビールおねがいします。」


源「アタシは…〈ペンデュラムGEN〉この間店立ち上げたのよね…おかまバーの…。あ、私も生で。」


豪次郎「え~マジで~?!あたしは〈じろちゃま〉っ♡あたしも去年店たてたのよ〜♡店の名前は、Sexy*Cherry…♡あ、生お願いします。」


剛「注文の時だけオネエ解除されるのやめてくれない…?頭痛くなる…。」




亮介「んもーっっ!あんたたちも女装してこんな感じになってるなんておもってなかったわよ~ッこんな奇跡ある~?!」


源「ほぉんと、ビックリよね…。店の前でずっと待ってたけど隣にいる女2人がアンタらだなんて思わなかったわよ…」


豪次郎「亮介は体格変わってないから、あたし、亮介に似たデッケー女がいるわっておもったわよ~!」


亮介「やだちょっと!ヒドーイ♡きにしてるのに~」(ドゴン)(豪次郎を叩く音)


豪次郎「いったぁぃ♡殴んないでよもぉ~ゴリラ女~!」



オネエ三人「キャッキャ♡」(笑い声。うふふとか、もぉ~♡とかヤダ~とかキャッキャしてる)


剛「ねえ!俺だけおいてオネエトークしないでくれない?!」





剛「……………………くっ……」


剛「おまえらだけ…おまえらだけ………………………………っ酷いわよあんたたちだけぇっ!!」


亮介「へっ?!」


豪次郎「…………つ、、、つよし?」


剛「あたしだって…あたしだって…ずっとオネエ隠してずっと生きてきたのに!!な"ん"な"の"よ"ぉ"っずるいわ!!!」


剛「高校の時だって、あんた達に嫌われるのが嫌だったから必死で隠して……あんたたちと過ごす居心地がいい空間を手放したくなくて、あたし…あたし頑張ってたのにっ…、10年後蓋を開けてみればなんなのよコレぇっ…あたしがバカみたいじゃないの…うぉ〜んぉんぉんぉんぉん…」





源「ねえ、剛…。」


剛「何よォッ!」


源「知ってた」


剛「はぁ?!」


源「あんたがオネエの魂持ってるやつだって…」


剛「なっ…?!え??」



亮介「だって高校の時からアンタ、箸落とした時に『イヤァッ///』とか言うし、なんか内股で座ってるし、温泉入る時なぜか乳首隠してたし…」


剛「エェッ?!」


豪次郎「そうよ。あたしもしってた。顔はそこそこ良いし運動もできるし成績も悪くなくて女からモテるのに全然付き合わないし、挙句の果てには阿部寛と結婚したいとか言うし」


剛「た、たしかに?!」


亮介「むしろ隠す気があったのかって感じだったわよ。」


剛「ぐっぐぬぬ!」





豪次郎「でもさ……だからこそ、あたしたちが集まった…そうなんじゃないの?」


剛「はっ……!」


源「そうよ。剛の魂が、アタシたちオネエの魂を集めたってワケ…」


亮介「たましいたましいうるさいわねこいつ…」


亮介(咳払い)「と、いうことで剛…、いや、ツヨちゃん!!」




剛「な、なによ」


亮介「アタシと組まない?」


剛「え?」


亮介「あんたをアタシの店にスカウトするわ。…アタシたち、高校で同じ部活だったじゃない?汗水を流してお互いを鼓舞し合った、あの熱い時間は今までも忘れないわ…♡」


剛「りょんりょん…!」


亮介「またあの時みたいに、タッグを組みましょ?アタシたちなら全国いけるわ。」


剛「りょんりょん……!……全国?なんの?」


亮介「え、あの…ええと……オネエの?」




源「そんなおバカさんなゴリラよりもアタシにしときなさい?」


剛「は、はァ?!アンタまで?」


亮介「おい、ゴリラゴリラうるっさいわね」


源「剛とアタシは3年間一緒のクラスだったよしみがあるでしょ。3年間同じクラスになるなんて…アタシたちは運命の糸でつながってるって、ワケ。」


剛「ペンデュラムGEN…!」


源「そう、アタシたちはただのクラスメイトなんかじゃない…。魂に導かれたソウルメイトなの…」


剛「…ペンデュラムGEN?」


源「アタシと剛はそういう運命の元に生まれてきたの。だから……あたし達一緒にいなきゃ………。そうしなきゃ……近いうち死ぬわよアンタ。」


剛「…ペンデュラムGEN……?!?!」





豪次郎「そんなスピリチュアルブス女なんてダメ。アタシにしなさい?剛」


源「なによこの女。あたしのどこがスピリチュアルブスなわけ…?ほんと信じらんない…」


亮介「自覚なしでそれなのアンタ…?」


剛「じろちゃままでアタシをスカウトしようっていうの、、?」


豪次郎「なんたってアタシ、生徒会長だったのよ?」


亮介「だからなんだってのよ。あたしと剛の絆の方が強いにきまってんじゃないの」


源「そうよ、アタシたちの【魂】の方が固く結ばれてるわよ。」



豪次郎「ふっふっふ、、なんたってあたしは、あの生徒会選挙で数々の強敵を打ち倒して生徒会長の座を勝ち取ったカリスマよ?あんたらとは、レベルがちがうって ワ、ケ♡ みて?この知的で聡明なお顔♡しかも賢いだけじゃなくてぇ〜お茶目でかわいい1面もある♡そして、みて?なによりも魅力的なこのぷりっぷりの肉体を♡」


亮介「きったねぇケツこっちむけてんじゃないわよ」(バチィン!!)


豪次郎「い"ってぇ"なオイ!!何してんだてめえ!」


亮介「だっはっは!!本性でたわね!!」


豪次郎「キイイイイ!ほんっと!サイッテーねアンタ!!ほんとむかつく!」


源「うるさいわよ、りょんりょん、じろちゃま。あたし達がうるさすぎて店員がバケモノ見る目で見てるわよ。おだまり。」


亮介「えっあ、え?……………すみません。」


豪次郎「もー痛いわね…ほんとにもう…」(ブツブツ)





剛「ふふ、あははははっ」


源「つよし…?」


剛「ふふ、みんな…ありがとう…。みんなには、ずーっとまえから、あたしがオネエだってバレてたのね。今日だって、来る前から 自分の店にスカウトしようって、決めてきてくれてたんでしょう?」


亮介「そ、それは…」


源「そうよ」


豪次郎「こいつらも同じ魂胆だって知らなかったけどね…。」



剛「ふふ、、あのね……?さそってもらって悪いんだけどね……。あたしね……………」


剛「年収1億なの。今の仕事辞めるつもりは無いわね。」(真顔)



亮介・源・豪次郎「え」





剛「実は会社経営してんのよ。あたしが仕事放棄したら社員が生きてけなくなるわね。だからそんな最近始めたばっかの個人経営のバーで働くのはごめんだけど本当に絶対に無理。」


亮介「え?え?」


剛「あたしね……今までガムシャラに働いて自分の本性を隠して生きてきた。多くの人からの理想の人間であり続けようって……。でもね…?今日、みんなとこうやって、久々に会って…。みんなもオネエだったって知って………。なんだか、勇気貰っちゃったわ。」


源「ちょ、ちょっと」


剛「あたし、これからは自分を偽らずに生きてく。オネエ社長としてやってくわ。ありがとう!みんな!」


豪次郎「つ、つよし…。待って。」


剛「ん?なによ」


豪次郎「いや、無理よ。無理とか言われても無理。あんたその若さで社長だったの?マジ?ますますあんたのこと欲しくなるけど?」


亮介「ちょ、ま、待ちなさい?アンタ金がめあてでしょ豪次郎!ほんとゲスいわよね。許さないわ。あ、アタシはツヨちゃんが社長だろうが、社長じゃなかろうが、ツヨちゃんといっしょにやって行きたいって、お、おもってるし?」


源「亮介、目が泳いでるわよ。ほんと分かりやすいゴリラよね。……ねえ剛、おネエ社長のとなりには、オネエ秘書が必要だって思わない?あたしを雇って。あたしと剛は魂で固く繋がってるから分かるの。私が傍にいればもっともっと剛がでっっっかい人間になれるって…♡」


豪次郎「だ、だめよ?!?!ダメダメダメダメな源なんてほんとスピってるだけの役たたずなんだから!!この中で有能なのはあたしだけなんだからね?!わかってるわよねえ?!つよし!そばに置いとくならアタシよ?!」


亮介「ちょ、……あんたら2人、自分の店を捨てるってわけ?!くっ………!…だったら、、あ、あ、あ、アタシも、す、す、捨てる覚悟、ありますけどぉ…!?」



亮介・源・豪次郎「「「剛!だれをえらぶの!」」」



剛「……………いや、あんたら全員無理です。うちの会社入りたいなら普通に面接受けて下さい。」





剛(こうしてあたしは、オネエ社長だったということをカミングアウトし、その結果ネットで大バズりし、テレビ出演が決まり、オネエ社長タレントとしてやって行くこととなった。


アイツら3人も、「オネエ社長の幼なじみのオネエ」として話題になって、オネエケルベロスとして世間の人々に愛され続けましたとさ。)



剛(めでたしめでたし♡)

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同級生と再会したら全員オネエでした。 凸面 @Cactus8056

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